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[動き出す予防医療]遺伝的リスクへの備え

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 もって生まれた遺伝情報は書き換えられません。それでも、人生は変えられます。

 その理由の一つは、人生は遺伝情報だけでは決まっていないからです。たとえば、一卵性双生児は同じ遺伝情報を持っています。顔立ちは似ていても、性格は違いますし、必ずしも同じ病気を患うわけでもありません。いかに後天的な要因が大きいかが分かります。

 遺伝情報は変えられなくても、あらかじめリスクを知ることで、生き方を変えることは可能です。遺伝的リスクを知ることが、生活習慣を変えるきっかけになればとても良いことです。

 現在の医学では予防や治療ができない病気のリスクについてはどう考えればよいのでしょうか?

 一例として、アルツハイマー病の罹患りかんリスクはある程度推定できるようになってきました。しかし、現在認可されている薬は、不眠、興奮、不安、うつなどの行動心理症状に対症する薬であり、進行を止め、治療する薬はありません。

 それでも、私自身はこの病気のリスクを知ってもよいのではないかと思っています。漠然と不安に思っているよりは、リスクを知って病気に備えるほうが個人にとって幸せではないかと思うのです。リスクを知り、定期的に検査を受ければ、早期発見が可能で早い段階から服薬を始められます。

 どんな病気でも、落ち着いて病気について調べ、家族と話し合う時間は貴重です。少し前に、明るく生涯を閉じる準備をする「終活」という言葉が生まれましたが、積極的に病気に備える、いわば「病活」があってもよいはずです。

 もちろん、人によって考え方は異なるでしょう。遺伝情報は個人のもの。自分の遺伝情報をどう扱うかは、一人ひとりがよく考えるべき問題です。(林崎良英・理化学研究所プログラムディレクター)

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