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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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熱中症の予防には水分補給、日傘、帽子…漢方薬も

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夏の日差しが、肌に刺さる日が続きます。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。とくに熱中症には注意が必要ですが、熱中症、日射病、熱射病の言葉の違いをみなさんはわかりますか。

熱中症は、太陽光など夏の暑い環境「暑熱環境」で生じる障害の総称で、熱けいれん、熱疲労、熱射病に大別されます。特に、太陽光によって体が脱水になっている状態を日射病ということもあります。

熱中症になると、水分が足りず脱水状態になるために、体が動かせなくなることや、体温が上がったために、めまいや痙攣(けいれん)などの症状などが起こります。夏の暑い日、家の中でも、外でも、体調が悪くなれば熱中症の可能性があります。

熱射病は致命的な状態を引き起こす

砂漠の上をゆらめく太陽をまぶしく見つめながら、フラフラと歩く姿、まるで映画のワンシーンのように、脱水状態を引き起こす熱射病は、炎天下で起こりやすい症状のひとつです。

脱水状態になると、体の水分が足りなくなることで、口が渇き、尿の量が減ります。脱水状態は、脳、心臓、肺、肝臓、膵(すい)臓、腎臓などの重要な臓器に、酸素と栄養を運ぶことができなくなります。このため「脳貧血」と呼ばれる意識障害を起こして、倒れてしまうことや、「ショック状態」と言われる、血圧の低下、脈の乱れなどの心臓の症状、肺機能障害による「呼吸困難」症状、過換気、息苦しさなどが起きます。これ以外にも、脱水状態によって、脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞(エコノミークラス症候群)など、命に関わる状態を招きます。

体の外から熱が加わった状態なら冬でも熱中症になる

夏の暑い日は、熱中症にならないよう注意が必要です。太陽光で体が熱されることにより、脱水状態や意識障害を引き起こすからです。熱中症は、夏だけではありません。

冬の寒い日にも起こります。銭湯で熱めのお湯につかりすぎたときや、サウナに長時間入りすぎたとき、フラフラになった経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。あの高温によるふらつきやめまいは、熱中症のひとつです。人は体の外から温めすぎると体調を崩し、意識状態が悪化し、場合によっては命を落とすこともあるわけです。

熱中症予防には漢方薬の活用も

熱中症の予防には、水分補給だけでなく、日傘、帽子を使うことが大切です。そして、漢方薬をうまく活用するとよいでしょう。

1.夏場の胃腸障害に、胃苓湯いれいとう

夏ばての体に油ものは、胃もたれや腹痛の原因になることがあります。また、冷たい物ばかり飲んでいると、体がだるくなり、胃腸の調子も悪くなります。そんなときに、胃苓湯が活躍します。胃苓湯は、夏の胃腸障害を治してくれる漢方薬です。口の渇き、体の浮腫むくみ、胃腸不良、下痢などを治してくれます。

2.夏ばてに、清暑益気湯せいしょえっきとう

炎天下を仕事で走り回っているうちに、だんだんと体力が奪われていきます。寝苦しい夜が続き睡眠不足も重なります。こんなときに、清暑益気湯が活躍します。清暑益気湯は、夏の体調を整え、体力低下を補ってくれます。

暑い夏がやってきました。どうかみなさん、熱中症に注意して毎日を元気で健康にお過ごしくださいね。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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