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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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マラソンせずとも熱中症には注意しましょう

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 皇居の前を通ると、老若男女が元気に走る姿を見ることができます。2015年2月22日に開催された、東京マラソンには、3万5797人の方が参加されたそうです。

 「東京がひとつになる日。」をテーマに開催された、この東京マラソンには、たくさんのボランティアが参加しました。わたしの仲間にも、東京マラソンを陰で支えた医師がいます。

 学生時代から陸上競技を続けている堀口速史さんは、東京マラソン2015医療救護委員会ランドクター統括責任者を務めました。彼は、いつも輝く笑顔で患者さんに接する呼吸器専門医です。走ることが大好きな彼のが、参加するランナーの安全と健康をしっかりと見つめていたことで、大会は無事に行われたと思います。

 そんな堀口くんが、「マラソンの最高峰」に位置付けている、第68回富士登山競走が、7月24日に開催されます。「3776mの頂を目指して」行われるこの大会は、富士吉田市役所から吉田口登山道を経て、山頂にいたる21kmを駆け上がる過酷な競技です。

 なんと、スタート地点とゴール地点の標高差は、約3000mになります。夏に開催される大会は、体調管理も難しく、堀口くんは、「平地を走る競技とは違うトレーニングが必要なんですよ」と、キラキラ光る瞳で語ってくれました。

 私たちも毎日の生活で、強い日差しを浴び、熱中症に注意する必要があります。水分の補給ばかりでなく、直射日光を防ぐ工夫が必要になります。そんなとき、漢方薬をうまく活用するとよいでしょう。

1.水分コントロールに、五苓散ごれいさん

 暑さに負けて、冷たい物ばかり飲んでいると、体がだるくなり、胃腸の調子も悪くなります。暑い夏は、水分の補給は必要ですが、飲み過ぎに注意する必要があります。そんなときに、五苓散が活躍します。五苓散は、水分コントロールをしてくれる漢方薬です。口の渇き、からだの浮腫むくみ、胃腸不良などを治してくれます。

2.熱のコントロールに、黄連解毒湯おうれんげどくとう

 太陽光線によって皮膚が真っ赤になってしまったときや、暑さにのぼせてフラフラするときがあります。体温の上昇により、中枢神経が負けてしまい、倒れてしまう場合もあります。こんなときに、黄連解毒湯が活躍します。黄連解毒湯は、熱をコントロールしてくれる漢方薬です。のぼせ、火照り、日焼けなどを治してくれます。

 暑い夏がやってきました。どうか皆さん、熱中症に注意して、毎日を元気で健康にお過ごしくださいね。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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1件 のコメント

熱と疲労の蓄積と体内連環 初期対応の知識

寺田次郎関西医大放射線科不名誉享受

新潟のユースサッカー大会でセルビアの選手が熱中症で2名倒れたそうです。3日連続で三試合を18人で・・・ということで、日本のシステムからすると、医...

新潟のユースサッカー大会でセルビアの選手が熱中症で2名倒れたそうです。

3日連続で三試合を18人で・・・ということで、日本のシステムからすると、医学生の大会でさえ、よくあることですが、移動や気候、食事の差もある他国からの参加もある国際大会ではよりデリケートな対応が重要になるということでしょう。

また、異常気象の影響もありますし、子供がよりデリケートに育っている現代日本ですから、そういうこと抜きにしても対策は大事になるのではないかと思います。


こういうニュースを見ると、医療機関とか医療関係者の問題というよりは、一般常識としての医療を考えさせられます。

細かい分類はさておき、予防や治療の基本は休息と冷却と水分などの補給だからです。


夏場の熱としては高い外気温のほか直射日光による影響が亜急性にも関係します。
いわゆる深部体温の問題のほかに、日焼けです。
ただ、色が黒くなるだけではなくて、一応やけどに相当しますので、遅れて脱水傾向になっていくことは考えられるのですが、普通の人は余り気にしないのではないかと思います。

また、サイトカインやホルモンなどの連鎖を考えると、他のストレスや疲労と重なると症状が出やすいことは考えやすいと思います。

子供たちが服薬しているケースなどはあまりないと思いますが、高齢者などでは内服薬の血中濃度などにも影響を与える可能性が考えられ、改めて症状が強くなる前からの対応策が大事になるのではないかと思います。

こういうニュースは残念なことではありますが、残念なままで終わらせないように、学習機会としてとらえていく意識が大事なのではないかと思います。

救急初期対応は結構アナログで簡単なものが多いので、熱中症に限らず一般の方でもできるものは多いと思います。

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