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心療眼科医・若倉雅登の相談室

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(1)サプリメント、目に効くのか

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 ヨミドクターでコラム「心療眼科医・若倉雅登のひとりごと」を好評連載中の井上眼科病院(東京・お茶の水)の名誉院長、若倉雅登さん。5月18日に読売新聞東京本社内で開かれた「読売医療サロン」で「目の健康~加齢による目の不調の治療と改善~」をテーマにご講演頂きましたが、今回、その参加者から寄せられた質問の一部に対し、回答して頂きました。


 ブルーベリーや、ルテインなどのサプリメントは、本当に目に効くのでしょうか?

若倉 今や年間7000億円余の規模を誇る日本の健康食品市場ですが、2015年からは「新機能性表示」と呼ばれる新制度が導入されました。疾病の治療効果、予防効果を示唆する表示は認められませんが、「目によい」などの表示なら許容されるようになり、ブルーベリー、ルテインなど、いわゆるサプリメントの宣伝は一層盛んになっています。

 医療用医薬品はもちろん、薬局で購入できる一般医薬品や、トクホといわれる特定機能食品などでは国の審査を受けなければいけません。しかし、健康食品は届け出だけでよく、厳密な科学的根拠は不要です。新機能性表示制度の目的は、効果や安全性に対する視点ではなく、経済成長戦略のひとつだからです。

 ブルーベリー、ルテインの網膜などへの効果は、諸外国でも宣伝が先行していました。研究者も、それまではほとんど無視していたこうした物質について、盛んに研究対象にしたのは十数年前のことで、そのころから一流科学雑誌にも少しずつ研究成果が掲載されるようになりました。

 ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンや、抗酸化作用を持つ色素であるルテインが、動物実験レベル、細胞レベルでは網膜に良い影響を与える可能性があるという結果はいくつか出ています。しかし、難治で、進行性の疾患とされる網膜色素変性や、加齢黄斑変性といった具体的な疾患では、予防効果、進行を抑える効果があるとする結果と、否定的な結果とが出ています。肯定的な研究でも、科学的に十分高い確度で肯定しているわけではなく、効果の程度も治療薬として採用すべきレベルではないようです。

 まして、これらのサプリメントがのどんな病気や症状にも効くというのは、医師の立場から言えば誇大な表現であり、たとえば白内障の進行を抑える効果は完全に否定されています。

 健康食品、サプリメントという言い方は、聞こえがいいですが、過剰な摂取は逆効果や副作用を引き起こす可能性があります。また、ベータカロテン(ルテインなどと同様、抗酸化作用のある色素で、ビタミンA前駆体)が喫煙者に肺がんを誘発する率を上げるとするデータが発表されたように、良い面だけがあると信じるのはよくありません。

 やはり、病気の治療や予防については医師の意見を聞くことが大切で、サプリメントについては過大な期待をせずに、希望者は自己責任で上手に利用するという姿勢が必要だと思います。

 
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