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[動き出す予防医療]わかるのは「リスク」

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 一般向け遺伝子テストは「占いよりはまし」。なぜでしょうか。そのヒントは、各社のホームページに小さく書かれています。

 「遺伝子テストは現在の病状を示すものではない」。つまり、遺伝子テストでわかることは、あくまでも「リスク(危険度)」なのです。たとえば、健康診断で血糖値が高かった場合、それは現在の体の状態を示すものです。一方、遺伝子テストで「糖尿病のリスクがある」という結果は、論文等で「糖尿病になりやすい体質である」と報告されている遺伝子を保有しているだけであって、現在はまったく糖尿病でないかもしれないのです。ですから、遺伝子テストは健康診断の代わりにはならないことに注意してください。

 さらに、リスクとは、必ず発症することを意味するものではありません。ほとんどの一般向けの遺伝子テストには、ある遺伝子変異があれば、ほぼ確実に発症するような疾患は項目に入っていません。ですから、一般向けの遺伝子テストの項目には、恐ろしげな疾患名が多数並んでいますが、過度に不安になる必要はありません。

 糖尿病のリスクがあるなら、今よりも健康的な食事を心がけるきっかけと考えればよいのです。より重要なことは、どんな疾患のリスクがあるにしても、しっかりと健康診断を受けることです。

 一方、リスクが低いからといって、安心するのは大間違いです。「リスクが低い」という結果は、「発症しない」ことを指すものではありません。現在分かっている遺伝的なリスクだけで、その疾患にかからないと判断するのはきわめて危険です。適切な食事、適度な運動、定期的な検査を怠っては、予防医療のための遺伝子テストも本末転倒になってしまいます。(林崎良英・理化学研究所プログラムディレクター)

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