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「会話は禁止」「大声ご法度」…静寂を味わいリラックス

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仕事帰りに充電

観葉植物の緑あふれる「アール座読書館」。森の中で読書しているイメージにしたかったという

 「おしゃべり禁止」「大声ご法度」――静けさを保つという約束のもと、お茶や読書、お酒を楽しむ店がある。喫茶店や居酒屋は陽気に語らう場なのでは? そんな見方をあえて否定し、静けさを求める空間が今、じんわり支持を集めている。

 仕事を終え、一人喫茶店に寄る。ただ、ぼーっとするもよし。1日の出来事をノートにつづるもよし。

 「20年前から、そんな時間と空間を持つことを提唱してきたんですよ」と話すのは、心療内科医の海原純子さん。職業柄、患者の悩みや苦しみと向き合う日々。心底疲れきって職場を出た後、自分を解放できる喫茶店での一人の時間は貴重だ。ただ、最近はチェーン展開するコーヒーショップが台頭し、にぎやかすぎるのが気になる。

 そんな人に似合いそうなお店が東京・初台にある「fuzkue(フヅクエ)」。一人の時間をリラックスして過ごすための店で、お茶や食事、お酒も出す。注文以外の会話は控え、学生の試験勉強お断り。

 訪れた人たちは、「おしゃれなカフェは緊張してしまうけど、ここは居心地がよかった」「頭の中を整理したい時に来ます」と感想を書き残していく。

 昨年10月、この店をオープンした阿久津隆さん(29)は「仕事を終えた働く人たちが、一人でゆっくりする時間を応援したい」と話す。

 阿久津さんがヒントにしたのが、東京・高円寺の「アール座読書館」という7年続く喫茶店だという。ここは、「静寂を楽しむ空間」をうたい、基本的に会話禁止。1000冊ある本は閲覧自由。読書しなくても、考え事をする人もいれば、編み物や折り紙をする人もいる。

 「スケジュールに追われるだけではつまらない。ここでは考えることをやめ、気持ちを鎮めて過ごしてほしい」。店主の渡辺太紀たいきさん(45)はこの店の楽しみ方を説明する。だから、気分の高揚につながるお酒や食べ物は出さない。

 意外にも、静けさを追求する居酒屋もある。

 趣ある縄のれんをくぐると、「希静」(「静けさを願う」意)と記した篆刻てんこくが掲げられる神楽坂の老舗「伊勢藤いせとう」。会話禁止ではないが、店内がざわついたり、大声で話す客がいると、店の3代目・亀山睦雄さん(55)が「お声をお落とし願います」とぴしゃり。

 祖父の代から80年続く「静かに飲める居酒屋」の伝統を守る亀山さんは「不必要に大声で話す人って、いますよね。今、騒々しい場所ならいっぱいある。だからこそ、静かに飲みたいという欲求もあると思うんです」と語る。

 静寂を味わう喫茶店、静かに飲む居酒屋――。静けさを求める心について、海原さんは、こう分析してくれた。「いつも外に意識を向けていたら、人は疲れてしまう。一人静かに過ごして自分を振り返り、客観視する時間は心にゆとりを生み、ストレス回避につながるのでしょう」

 心を休めて自分を見つめ、“充電”するひとときがあれば、喧騒けんそうの中に戻っても、また頑張れるかもしれない。(高梨ゆき子)

静けさを楽しめる店

 ◇fuzkue(フヅクエ) 東京都渋谷区初台1の38の10 二名ビル2階▽http://fuzkue.com/

 ◇アール座読書館 東京都杉並区高円寺南3の57の6▽http://r-books.jugem.jp/

 ◇伊勢藤 東京都新宿区神楽坂4の2((電)03・3260・6363)

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