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茂木健一郎のILOVE脳

yomiDr.記事アーカイブ

名古屋駅で起きる不思議な現象

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 一人で来る場合もあるし、複数でいらっしゃる場合もある。実に、ナゾの人たちなのです。

 外見は、ちょっとオタク風の男性が多く、また、ふしぎなことに、持っている手さげ袋の中に、大量の色紙があるのが見えることもあるのです。

 むむむ? ということは、ひょっとして、「プロ?」

 振り返れば、新幹線の名古屋駅は、構造として、乗降客が特定の改札口を通るようになっています。

 たくさんの改札がある東京駅と違って、確かに、「張って」いれば、通っていく人を「捕獲」できる確率が高い。

 ひょっとすると、名古屋駅で遭遇する「色紙の人たち」は、いつも名古屋駅で張っていて、「ターゲット」を見かけると、さっと近づいていっているのかもしれません。

 うーん、正体が知りたい!(笑)

見習うべきところも

 ところで、そんな、「名古屋の人たち」の行動を見ていて思うのですが、実は、あのような素早い行動は、身体を鍛える上では、案外役に立つのではないか?

 もちろん、駅で、やたらと駆け寄られて、「色紙をお願いします」と頼まれたら、とまどうというか、困るわけですが、その、前のめりの「スクランブル発進」の姿勢には、見習うべきところがあるようにも思うのです。

 というのも、最近思うのですが、体作りというのは、「やらせる自分」と、「やらせられる自分」の闘いでもある。

 「さあ、走るぞ、やるか!」と決定する自分がいる。一方で、「え〜、面倒くさいよ、行きたくない!」と抵抗する自分がいる。

 「やらせる自分」が、「やらせられる自分」の抵抗を押し切って、実行させる、というところに、エクササイズのポイントがあるように思うのです。

 つまりは、「やらせる自分」が、「やらせられる自分」に、「さあ、やるか」と、「スクランブル発進」をかける。

 その素早さが、ポイントであるように思うのです。

 「走ろうかなあ」「どうしようかなあ」「面倒だしなあ」なんて、躊躇ちゅうちょしていてはいけない。

 「走るか」「よし、シューズ!」「さあ、外に出るぞ!」「準備はいいか」「ゴー!!」という感じで、テンポよく、青空の下を駆けてゆく。

 そんなスピード感が、大切だと思うのです。あの、ためらいもなしに色紙を持って迫ってくる、名古屋駅の人たちのように。

 先日も、軽井沢で合宿があり、会議の合間のちょっとした時間にも、不肖、私めは、「やらせる自分」が、「やらせられる自分」に「スクランブル発進」をかけて、ホテルの周りをランニングしていました。

写真1

 その際に撮ったのが、写真1。

 私が大好きな女優の原節子さんが、黒澤明監督の映画『わが青春に悔いなし』の中で、お花畑の中に座っているそのイメージを思い浮かべて、自撮りしました。

 えっ、似合わないですって? そんな写真をとっている暇があったら、もっと走れですって?

 ごもっとも!

 えーい、こうなったら、そんなあなたに、スクランブル発進!

 さあ、一緒に走りましょう!

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茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)
脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。1962年、東京生まれ。東大大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。クオリア(感覚の持つ質感)をキーワードに脳と心を研究。最先端の科学知識をテレビや講演活動でわかりやすく解説している。主な著書に「脳の中の人生」(中公新書ラクレ)、「脳とクオリア」(日経サイエンス社)、「脳内現象」(NHK出版)、「ひらめき脳」(新潮社)など。

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