茂木健一郎のILOVE脳
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名古屋駅で起きる不思議な現象
仕事柄、全国各地をいろいろと回ることが多いのですが、そんな中、とても不思議な現象が時々起こる場所があります。
それは、ずばり、JRの名古屋駅!
いつも、というわけではないのですが、新幹線を降りて改札へ歩いていたり、あるいは、改札から入ってホームに向かっているその一瞬の隙をついて、不思議なことが起こることがあるのです。
私は、移動する時は、大抵、かなりの速いスピードで歩いています。
せっかちだということもあるのですが、基本的に早足が好きなのです。決して、「トレーニング」しているというわけではないのですが。
そんな時、横や、後ろから、さっと誰かが近づいてくる。
何だ、なんだ、と本能的に身構えると、その人は、私に向かって、いきなり、「色紙」を差し出すのです。
「あの〜、サインお願いできませんか?」
「あっ、はい……」
見つかれば逃げ場もない、というわけで、当惑しながらも、さささと、絵か何かを描いてごまかすのですが、そんなことをしながら、私の中では、さまざまな疑問が湧き上がるのです。
おかしい。
何か、おかしい。
職業柄、ある程度顔が認知されているので、街を歩いて声をかけられることは、確かに時々あるのですが、名古屋駅で起こるその手の事象は、どこか不可思議なのです。
間髪入れない見事な声かけ
まず、私を認知してから、声をかけてくるまでの時間が、異様に短い!
普通だったら、「あっ、知っている顔だ!」と思ってから、「どうしよう、声かけようかな。握手だけでもしてもらおうか。思い切って、サインしてもらおうかな、あっ、行っちゃう、急がなくちゃ!」と声をかける決断をするまでに、短くても10秒やそこらの時間が経過するものではないのでしょうか。
ところが、名古屋駅で時々遭遇する不思議な人たちは、私の姿を見て、あたかも「スクランブル発進」をしたかのような、間髪を入れない、見事な声かけをしてくるのであります。
私がその「エリア」に現れてから、「スクランブル発進」をかけるまでに、経過した時間は、おそらく数秒以下。短い時には、2、3秒で「すみません!」と声かけが行われるのです。
それくらい見事な反射神経を見せる「名古屋の人」の正体は、一体何なのか?
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