健やかキッズ
妊娠・育児・性の悩み
遊びで育てる身体能力
片足立ちができない、かかとをつけてしゃがめない――。体を動かす基本となるバランス感覚や柔軟性が十分でない子どもが最近目立つ。こうした能力の多くは、体を使った遊びを通じて培われる。家庭でも、親子で遊びながら体を動かす機会をつくりたい。
さいたま市の整形外科医、林
埼玉県医師会は2010年度から4年間、県内の幼稚園、小中学校の延べ1343人を対象に、体の柔軟性やバランス感覚を調査した。その結果、本来であれば、できるはずの4種類の動作=表=のうち、一つでもできない動作がある子どもが4割いた。
◇子どもの体の柔軟性やバランス感覚を調べる調査項目 |
---|
〈1〉ふらつかず5秒間、片足立ちができるか 〈2〉両方のかかとを地面につけたまましゃがめるか 〈3〉両腕を真上に上げることができるか 〈4〉前屈し、手の指先が地面に着くか |
こうした動作に難がある子どもは、つまずいたり足を踏み外したりした際、とっさに体を守る動きができず、骨折などのけがをしやすくなる。
高齢者介護の現場では、加齢により筋力などが衰える「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」が問題になっている。ロコモ予防の啓発活動を行っている「全国ストップ・ザ・ロコモ協議会」(東京)では、幼児から10代までの子どもの関節や筋肉などの機能が十分発達していない状態を「子どもロコモ」と名付け、警鐘を鳴らしている。主に筋力低下が問題となる高齢者のロコモと違って、「子どもロコモ」は、バランス感覚と柔軟性に欠けることが多い。
その原因として林さんは、外で遊ぶ機会が減っていることを指摘する。木登りや鬼ごっこなど、全身を使って遊ぶことで、バランス感覚や柔軟性が身につく。「ところが、最近は、外遊びの場所や時間が十分でなくなっている」と林さん。
外遊び不足を補う対策の一つとして、山梨県甲斐市で、子どもたちに遊びを通じた運動を教えているトレーナーの花輪
花輪さんによると、運動している子どもでも、サッカーや野球など、一つの種目だけを行っているという例は少なくない。それだと、特定の体の動きだけに偏ってしまう。「小学校低学年までは様々な遊びを通じて、体の動かし方を幅広く体験することが理想。その機会を補う意味でも、これらのゲームを楽しんでみては」と話している。
このほか、普段からストレッチ運動などで関節を柔らかくしておくことも大切だ。林さんによると、猫背などの姿勢の悪さも問題になる。肩などの関節の動きが不十分になり、転んだ時などにとっさの反応がしにくくなることがあるからだ。「日常生活の中で正しい姿勢を心がけさせることも、体の柔軟性やバランス感覚を養うことにつながります」と林さんは話している。
◆親子で楽しく体を動かすゲームの例
背中タッチ鬼 親子で右手と右手、または左手と左手で握手する。その手を離さずに、もう片方の手で相手の背中を先にタッチした方が勝ち。肩関節など上半身の柔軟性を鍛えられる。
タオルバランス崩し 向かい合ってしゃがみ、タオルの両端を互いに両手で持つ。タオルを引っ張り合いながら、相手のバランスを崩す。バランス感覚を鍛え、足首の関節を柔らかくする。
クモウォーク 床に座り、両手を後ろについた状態からお尻を持ち上げる。おなかにクッションやボールなどを載せ、落とさないように両手と両脚で進み、競争する。上半身の筋力を鍛えられる。
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。