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[動き出す予防医療]「己を知る」遺伝子テスト

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 「彼を知り己を知れば百戦してあやうからず」。私の恩師の一人、和田昭允博士がしばしば引用される孫子の箴言しんげんです。

 健康管理を語る上でも「彼」すなわち疾患だけでなく、「己」を知ることはとても重要です。世界で初めて、契約者個人の全遺伝情報(ゲノム)を読む事業を始めた会社の社名は、己を知るという意味の英語「know me」に由来する「Knome」です。

 今や、個人の遺伝情報から、一人ひとりの体質がある程度推定できるようになってきました。これにともない、「家にいながら数万円で自分の遺伝的な体質がわかる」というビジネスが本格化してきました。2012年の経済産業省の調査では、日本だけでも一般向け遺伝子テストを実施している会社は、738社もあります。なお、このコラムでは、病院の「遺伝子検査」と一般向けの「遺伝子テスト」を区別しています。14年には、大手が参入したこともあり、一般向け遺伝子テストはいよいよ熱戦になっています。

 数年前までは、縁遠い響きであった遺伝子テスト。一気に現実のものとなってきましたが、はたして、遺伝子テストで「己を知る」ことはできるのでしょうか。

 私の答えは「占いよりはまし」です。遺伝子テストには、いくつか気をつけなければならないことがあるからです。これから数回に分けて、理由を書いてみます。

 とはいえ、たとえば、遺伝子テストでがんのリスクが高かった人が、頻繁に検診に赴き、早期発見できれば、遺伝子テストは無意味ではありません。

 これからは、一人ひとりが自分のヘルスケアを選ぶ時代です。一般向け遺伝子テストも、性質をよく理解した上で賢く付き合いたいものです。(林崎良英・理化学研究所プログラムディレクター)

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