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性暴力救援センター・大阪 加藤治子代表(3)被害者7割「誰にも相談せず」

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「多くのケースが警察に届けられず、被害が埋もれてしまっている」と語る加藤医師(大阪市阿倍野区で)=若杉和希撮影

 ――性犯罪は被害者が告訴しなければ事件にできない、被害を訴えても主張が認められないなどの事例もあるなど、難しいケースが多いですね。

 強姦ごうかんや強制わいせつは原則、被害者による告訴がなければ警察は動きません。しかし、内閣府の調査によると、「異性から無理やり性交された経験がある」と答えた成人女性のうち、7割近くが「誰にも被害のことを相談しなかった」と答えています。多くのケースが警察に届けられず、被害が埋もれてしまっているのです。

 日本では、刑法に基づく性交同意年齢が13歳に設定されていますが、実情に即しているとは思えません。男が「合意の上だった」「13歳より年齢が上だと誤認した」と言えば、その主張が通ってしまうことがあるのです。また、明白な暴行・脅迫を伴わなければ罪が成立しないなど、被害者側にとって問題が多い法律であるといえます。現在、法務省の検討会でこうした点が議論されており、動向に注目しています。


 ――ほかに懸念している問題はありますか。

 高齢者向けの福祉住宅での性暴力被害です。過去に、被害に遭った高齢女性を診たことがあります。被害者は、生活保護受給者の男女が多く暮らす集合住宅で、各部屋の鍵をかけずに管理している状況で性暴力を受けていました。女性は認知症のため、被害直後は状況を話せても、時間がたつと何も話せなくなってしまいました。本人の供述がなければ警察は捜査できません。超高齢社会では、こうした問題が多発するのではないか、対処のしようがない事例が既にあちこちで起きているのではないかと懸念しています。


 ――被害に苦しむ人にメッセージを。

 ショックで心が凍り付き、不安定になるのは当然の反応です。あなたは何も悪くありません。どうか自分を責めないで下さい。つらい時は、信頼できる人に気持ちを打ち明け、支えてもらいましょう。できるだけ早く、心と体の適切なケアを受けることにより、回復の糸口が見えてきます。


 ――周囲は、どう接すればいいですか。

 被害を打ち明けるのには大変な勇気がいります。告白をした被害者に対し、嫌な顔をしたり疑ったりすると、本人を一層、深く傷つけてしまいます。寄り添い、耳を傾けて下さい。「いつになったら元気になるの?」「忘れるように」といった言葉もご法度です。焦らず、長い目で見守ってあげることが大切です。

かとう・はるこ
 1949年、大阪市生まれ。大阪市立大医学部を卒業後、75年から阪南中央病院に産婦人科医として勤務。2010年4月、性暴力救援センター・大阪(SACHICO)を設立。性暴力救援センター全国連絡会の運営にも携わり、各地のセンター設立をサポートしている。

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