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大学生の2割が過敏性腸症候群、学業や就職に不安

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長崎大などが調査

 下痢や便秘やそれに伴う腹痛や腹部不快感が、長期に繰り返す過敏性腸症候群(IBS)だが、近年はIBSと診断される人が若い女性を中心に増えているという。長崎大学教育学部の田山淳・准教授らは国内8大学と共同研究を行い、大学生の2割以上がIBSの症状に悩んでおり、症状がない学生に比べて学校生活にリスクを抱える人が1.6倍、就職への不安を持つ人が2.2倍多いことが分かったと発表した。詳細は、6月17日発行の米科学誌「プロス・ワン」(電子版)に掲載されている。

「下痢型」でより強い不安

 IBSは、下痢や便秘を慢性的に繰り返すにもかかわらず、検査をしても腸の異常は認められない病気。ストレスが主な原因と考えられている。おなかの張りや気持ち悪さ、おなかが鳴るといった症状があり、排便によって症状が軽くなることがあるが、急にトイレに行きたくなるため、症状がひどい場合は学校や会社に行けなくなるなど、生活の質(QOL)を低下させてしまう。

 田山准教授らは2013年5~12月に、長崎大をはじめ国内8大学に通う18~25歳の大学生1,663人(男性61%、平均年齢19歳)を対象に、IBSの診断基準に当てはまるかどうかをアンケート調査した。

IBS診断基準(RomeⅢ)
過去3カ月間、月に3日以上にわたって腹痛や腹部不快感(痛みとは表現されない不快な感覚)が繰り返し起こり、次の項目の2つ以上がある
1.排便によって症状が軽減する
2.発症時に排便頻度の変化がある
3.発症時に便形状(外観)の変化がある


 その結果、IBSに当てはまる学生が21%(341人)いることが分かった。年齢や性別、学部の影響を除外して分析したところ、IBSに当てはまる人では、そうでない人に比べて学生生活に不安を抱いている割合が1.62倍、就職に不安を抱えている人が2.16倍だった。

 IBSは排便状況によって、便秘型(IBS-C)、下痢型(IBS-D)、混合型(IBS-M)、分類不能型―の4つに分類されるが、学生生活への不安は下痢型、就職への不安は分類不能型で特に強い傾向にあったという。

 田山准教授らは今後、今回の調査をもとにした支援プログラムの作成や研究を続ける予定としている。

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