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からだコラム

[動き出す予防医療]高齢化社会 鍵握る健康寿命

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 最近のシニア世代の活躍には勇気づけられます。2060年には、日本人の平均寿命は、男性84歳、女性は90歳を超えると予測されています。しかし、せっかく長生きしても、介護が必要なほど健康に大問題を抱えていては、楽しい老後は夢のまた夢です。個人の生活の質を考える時、健康状態が極めて大きな要因であることは間違いありません。したがって、予防医療の必要性の最も根源的な理由は、健康寿命の延伸による生活の質の向上にほかなりません。

 社会全体に目を向けてみると、14年の時点の要介護(要支援)の認定者数は、約600万人で、この14年間で約2倍に増えました。今後、25年までの10年間は、要介護率が高くなる75歳以上の人口が急速に増加することが予測されています。これにより、現在約9兆円の介護費用は、25年には約20兆円に達する見通しです。これを減少する若い世代が負担しなければなりません。この構造は、ジャパン・シンドロームと呼ばれていますが、先進諸国共通の問題です。

 健康寿命を延伸し、高齢者も経済を支える生産人口に組み入れることが、この問題の根本的解決法になるはずです。予防医療に注目が集まる理由は、このような社会的要請でもあります。

 予防医療は、お金持ちだけの医療であってはなりません。経済政策と絡めて、国の政策に取り込まれるべき内容だと思います。予防医療は、内容によっては、必ずしも国の支出を削減する方向には働かないかもしれません。しかし、予防に必要な費用は、治療費よりも、国民一人ひとりの幸福に直結する意義のある支出です。

 無論、働く意欲のある健康な高齢者に有意義な職場を提供することも忘れてはなりません。(林崎良英・理化学研究所プログラムディレクター)

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