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茂木健一郎のILOVE脳

yomiDr.記事アーカイブ

「脱ちょいデブ」へ2つの作戦

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 いや、いつも言っているんですよ。

 人間は、自分自身を映す「鏡」を持たなければならない。

 そのことによって、私たちの自己意識は完結する。

 だとすれば、やはり、こんな連載をしているわけだから、自分自身の体重の変化については、ちゃんと「鏡」を見て、現状を認識していなくてはね。


写真1

 というわけで、ご覧ください。体重の最新のデータであります(写真1)。

 どうですか、この、見事な「∨字回復」!

 いやあ、日本経済も、こうありたいものですね。

 なんて言っている場合じゃない。リバウンドですよ、本格的なリバウンド!

 このグラフを見ると、体重が73キロ、すなわち、標準体重の上限の目安である「BMI=25」を割ったのは、ごく一時期のことだった、ということがわかります。

 「もはやデブではない」という「脱デブ宣言」。

 嗚呼ああ、それは、つかの間の幻だった。

 はかない夢よ。ぼくの青春は過ぎてしまった。

 ガクッ。

 なんて言っている場合じゃなくて、今や「ちょいデブおやじ」に戻ってしまった私としては、なんとしてでも、「脱ちょいデブ」、スリム・ボディーよ、もう一度、の栄光の地位を、取り戻したいものだと思う。

 また、そうでなければ、このコラムの読者のみなさんに、誠に申し訳ない!

 というわけで、本格的な夏を迎えるに当たって、私は、2つの「作戦」を立てました。


超早朝ランニングと水泳

 まず、第一の作戦。

「超早朝ランニング!」


 そうです。今までも、比較的朝早く走り始めてはいたのですが、さらに早く、なんと、午前5時過ぎには走りだしてしまう!

 しかも、「10キロ」を目指して、比較的まとまった距離を走ってしまう!

 こうすることで、夏の暑い日差しを避け、まだ涼しいうちに、ランニングをやってしまおうという作戦です。

写真2

 ですから、公園の時計が「午前5時40分」を回る頃には、もう、ランニングは佳境、後半戦に入ってしまっているという素早さ!(写真2)。

 気温の高さに、ついつい、走りにくさを感じたり、また、走っても、距離が短くなってしまいがちな夏。

 私は、この「超早朝ランニング」で、体を絞っていこうと画策しているわけであります。


 そしてっ!

 第二の作戦はっ!

 なんとっ!

 ダダダダダダダダダ(ドラムの音が盛り上がる)

 なんとっ!


 水泳!


 そうです。以前からやろうと思っていたのですが、ついに水泳も始めることにしたのです。

 何を隠そう、小学生の時は自由形(クロール)の代表候補になって練習しましたし(結局代表には選ばれませんでしたが)、中学生の時は、水泳部で、水泳大会に代表として出場したこともあるのです。

 種目は、200メートル平泳ぎでした!

 というわけで、「昔取った杵柄きねづか」ならぬ、「昔泳いだナントカ」で、泳ごう、泳ごうと前から思っていたのですが、ずっと実行できずにいたのです。

 家から歩いて20分くらいのところに公立のスイミング・プールがあり、そこに行こう、行こうと思いながら果たせませんでした。

 その理由は・・・単純に言うと、「面倒臭い」。


面倒臭がる自分の背中を押す

 いや、イメージできなかったんですよ。生活の中に、泳ぎを取り入れる、その具体的なステップがイメージできなかったのです。

 というのも、生活の中から、泳ぎ、再び生活に「復帰」する一連の過程を思い描いてみると、

 プールに行く。
 着替える。
 シャワーを浴びる。
 キャップをつけたり、ゴーグルをつけたりする。
 泳ぐ。
 またシャワーを浴びる。
 タオルでふく。
 着替える。
 お疲れ様でした~、みたいな感じで颯爽さっそう とプールをあとにする。

 こうやって、文字に書いてみると、確かにできそうなのですが、生活の中で、そのような一連の動きを取り入れる、というイメージが、どうしても浮かばなかった。

 これが、走るんだったら、

 短パンに着替える
 スニーカーを履く
 いきなり走りだす
 走り終える。

 と、簡単にイメージできるのですが、泳ぎの方はイメージできなかったのです。

 「あ~最近、暑すぎる」と思い、その衝動に身を任せながら、「泳ぎたい」「泳ぎたいとき」「泳げば」「泳げ!」と、「泳ぐ」という動詞を頭の中でアレコレと活用してみても、どうしても最終的な行動には結びつかなかったのであります。


 そこで、私は、作戦を立てた。

 まずは、道具を買ってしまおう!

 ネットの通販で、少しずつ買い始めました。

写真3

 まずは、水泳パンツ。そして、ゴーグル。さらには、キャップ。仕上げに、水泳道具を入れる専用のバッグ(写真3)。

 このように、道具をそろえていくことで、徐々に、「プールに行って泳ぐことを面倒臭いと思っている自分」にとってのハードルを下げ、「YOU、泳ぎに行っちゃいなよ」と自ら背中を押せるような、環境を整えていったわけであります。

 そしてある日。私は、ついに思い立ちました。

 そうだ、YOU、今日こそ、泳ぎに行っちゃいなよ!!

 じゃあ、行くか!!!

 まるで、初めて学校に行く子どものように(大げさですね)、私は、プールへの道を歩き始めたのです。

 初めて入る、某所にある、公共のスイミング・プール!

 そこに待っていたものは・・・(次回に続く!)

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茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)
脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。1962年、東京生まれ。東大大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。クオリア(感覚の持つ質感)をキーワードに脳と心を研究。最先端の科学知識をテレビや講演活動でわかりやすく解説している。主な著書に「脳の中の人生」(中公新書ラクレ)、「脳とクオリア」(日経サイエンス社)、「脳内現象」(NHK出版)、「ひらめき脳」(新潮社)など。

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