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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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どんな病気にも対応できる医師を育てる…時代にマッチした研修制度

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 紫陽花あじさいが、きれいに咲いています。紫陽花は、東京都港区の花に指定されていますので、芝公園の周りで見ることが出来ます。赤色や青色に輝く花を見ていると、小学校の頃、通学途中で見たカタツムリを思い出しました。これから梅雨になると、葉の上に輝く水玉を楽しむことができますね。

 先日、昔懐かしい仲間との食事会がありました。大学を卒業して、1年目に一緒に外科研修をした同期たちとの二十数年ぶりの再会でした。

 私が研修を受けた約30年前は、現在の医師研修制度とまったく違っていました。大学を卒業すると、ほとんどの仲間が自分の大学で研修を受けました。研修する領域は、自分で選んだ専門分野の診療科に限られていました。研修期間は、朝から晩まで忙しく、当直明けは、眠気をこらえて日常業務をこなしていました。

 現在は、自分の大学で研修する医師は少なくなりました。ほとんどの医師は、大学を卒業する前に、全国の研修指定病院の中から自分が研修したい施設を選びます

 現在、医師の卒後研修期間は、2年間と定められています。この初期研修期間は、研修指定病院で医師としての基礎を学びます。それぞれの研修指定病院は、優秀な医師を育てるために、魅力ある研修プログラムを提供しています。

 この初期研修期間では、自分が将来、専門としたい診療科を研修するだけでなく、産婦人科、小児科、麻酔科など、研修が義務づけられている診療科があります。なかでも、地域医療や救急医療など、様々な病気を診療する期間も、設けられています。

 この研修プログラムが始まり、どんな病気にも対応ができる医師が育っています。素晴らしいですね。

 これから少子高齢化の時代を迎える中で、専門しかわからない医師を育てるよりも、一人の医師が、子どもからお年寄りまで診ることが出来ることが望まれています。風邪から、打撲、生活習慣病、がんなど、様々な病気を診ることが大切になってきます。まさに、時代にマッチした研修制度で育った医師たちが、これからの医療を担っていくでしょう。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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2件 のコメント

新研修医制度とIT化社会が変えたもの

寺田次郎関西医大放射線科不名誉享受

「広く深い医療の世界での自分の立ち位置を考えさせられることになった。」実は新研修医制度の一番の重みはそこではないかと思います。様々な病院の様々な...

「広く深い医療の世界での自分の立ち位置を考えさせられることになった。」

実は新研修医制度の一番の重みはそこではないかと思います。

様々な病院の様々な部署での勤務・学習体験を経て、所属先や専門分野を定めていくということで、自分が全く知らないこと、多少は知っていること、深く知っていることの区別とタッチしていいかいけないかの区別を認識せざるを得なくなります。

逆に言えば、専門医の重みも増したわけで、専門医にとっても有益なことです。
(また、多臓器のリンクをイメージできる医師が増えれば専門分野の進歩にもつながるでしょう)

結果的に法律の規制はなくても、実務や資格の有無を問わず専門外の領域に対していい加減な医療を提供するケースは減るのではないかと思います。


ところで、先日、某学会で特定著者の著作の締め出しのニュースがありました。

一部大学病院の特定機能病院取り消しなども報じられましたが、学会や大学、病院のガバナンスの問題とリンクして新研修医制度による勤務先の自由化の影響は表れるのではないかと思います。

専門分野の好き嫌いだけでなく、想定業務量や人間関係を見て研修先を決めるパターンがあり得るからです。
(というのは昔からですが、色々と可視化・情報共有されている時代です)

今の若手は昔ほどタフではありませんし、女性医師の活躍の場も広がりつつあります。
医師、コメディカル、患者の関係性も変わりつつあります。

制度や社会の仕組みの過渡期には人の偏りや不満も出ますが、時間を経ればドロップアウトが減る仕組みとして再評価されるのではないかと思います。

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医師いろいろ

ちびまる子

20数年前、私たちが研修医だったころは専門医になることが大半の目標だったように思います。現在、家庭や総合臨床医の大切さが認識されてきて良いことだ...

20数年前、私たちが研修医だったころは専門医になることが大半の目標だったように思います。現在、家庭や総合臨床医の大切さが認識されてきて良いことだと思います。特に家庭医では教科書、大学病院、先進医療を主とする病院では学べないことが多く、先輩方の経験、指導が教科書になります。少なくとも私にはそうでした。
一方、例えばがん領域では、科学の進歩に伴い、診断、治療が細分化され、より高い知識が要求されます。インターネットにより、誰でも検索ができますが、目の前の患者さんにすぐに適切な検査と治療を提供するためには専門的、かつ新しい知識が常に必要になり、やはり専門医の存在が重要です。若い医師たちがどちらの道に進むにせよ、真摯に患者さんに向き合うことが大切だと言うことは変わらないと思います。
先日、幼馴染の長女、医学生が私は日本一敷居の低い医者になる、と言ったことはとても素晴らしいと思いました。

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