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宮本顕二・礼子夫妻(2)なぜ、自然死ができないのか

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「意思表示ができる時は、本人の意思を尊重することが基本」と話す宮本礼子さん(札幌市の自宅で)

 ――お二人は、2012年に「高齢者の終末期医療を考える会」を、札幌で立ち上げました。どのような会なのですか?

 宮本礼子「高齢者が穏やかな最期を迎えられるために、医療・介護関係者向けの講演会と市民公開講座をそれぞれ年1回開催しています。『平穏死のすすめ』を書かれた石飛幸三先生にも講演していただきました。来年は『大往生したけりゃ医療とかかわるな』を書かれた中村仁一先生にビデオ講演をお願いしています。お二人とも、終末期の高齢者には無駄な延命処置をするべきではないと考えている医師です。毎回400人近くの参加があり、関心の高さを感じます」

 

 ――一方、本の中で、「終末期医療の問題に、大半の医師は積極的にかかわろうとしない。むしろ解決を妨げている」と厳しく指摘もされています。

 礼子「例えば、私が今までに勤めた病院では、高齢者の終末期医療について『これでいいのか』と問題提起をした医師は誰もいませんでした。ブログのコメントには、問題意識のある先生が『これでいいと思っている医師は一人もいません』と書いていますが、現状を変えようとして行動を起こす医師はなかなかいません。私は、北海道にそうした会がなかったので、自分で作りました」

 

 ――医師は疲れているのでしょうか。

 礼子「自分一人の力では変えられないと思っているのではないでしょうか。延命に対する国民の意識の問題、医療制度・診療報酬の問題、看取みとってくれる自宅や施設の受け皿の問題など、問題がたくさんあり過ぎて、どうしようもないと思っているのではないでしょうか」

 宮本顕二「家族との対応ひとつにしてもそうです。たとえば、今の状況で、自分の考えに従って自然な看取りを実践しようとしても、患者の家族に一人でも反対者がいれば、後で訴訟に巻き込まれる可能性があります。それを防ごうとしたら、ものすごく手間と時間をかける必要があります。家族に説明する時間も10分や20分で済むはずがありません。しかも繰り返す必要があります。多忙な医療現場でそんな余裕はないでしょう」

 礼子「病院経営の問題もあります。今や、療養病床の半分以上、多分7、8割は、経管栄養や中心静脈栄養で延命されている人たちです。そのため、点滴や経管栄養を行わなかったり、中止したりすると、患者さんは2週間ほどで亡くなるので、病床が空き、病院経営が苦しくなります。しかし、2030年には死亡者が今より40万人増加し、看取り先の確保が困難になると言われています」

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