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[動き出す予防医療]ハリウッド女優 決断の理由

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 皆さんは2013年にハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子検査の結果、予防的乳腺切除手術を行ったというニュースをご記憶でしょうか。

 翌年2月に、私はジョリーさんの手術を執刀した外科医クリスティ・ファンク先生を理化学研究所に招きました。ジョリーさんと同じようにBRCA1という遺伝子に変異がある女性が、70歳までに乳がんを発症するリスクは最大87%に上ります(米国のデータ)。変異のない女性では数%です。十分な話し合いの後、ジョリーさんは予防的切除を選択し、彼女の乳がんのリスクは5%にまで減少しました。ジョリーさんのようなケースでは、予防的切除以外にも、頻繁な検診による早期発見などの予防手段もあります。ファンク先生は「予防的切除が全ての女性にとって正しい選択とは限らない」と前置きしながら、米国の彼女の病院では遺伝子診断に基づく予防的乳腺切除がそれほど珍しくなくなっていると述べました。

 この例だけを見ても、予防医療がすでに新たな領域に入っていることがわかります。一人ひとりの遺伝情報に基づいて、将来の疾患リスクを予測し、予防介入する医療が現実になっているのです。同時に、自分が受ける医療は自分で決める時代であるとも言えます。

 様々な反論もあるでしょう。健康な体にメスを入れることへの抵抗感や、現在は高額な自由診療なのでお金持ちだけが恩恵を受けるという問題などです。

 それでも、ジョリーさんが自らの決断を発表したのは、自分と同じ立場にいる世界の人々と自分の勇気を共有したいと思ったからだといいます。私自身も、このような予防医療を推進することが私たちの幸せにつながると確信しています。(林崎良英・理化学研究所プログラムディレクター)

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