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宮本顕二・礼子夫妻(1)寝たきり老人がいない欧米、日本とどこが違うのか

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 世界一の長寿を誇る日本は、医療技術が進歩したばかりに、高齢者が意識のない状態で何年間も寝たきりになる国でもある。読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」でそんな状況に疑問を投げかけ、反響を呼んだブログ「今こそ考えよう 高齢者の終末期医療」。このブログに大幅加筆して、『欧米に寝たきり老人はいない―自分で決める人生最後の医療』(中央公論新社、税抜き1400円)を6月10日に出版する内科医、宮本顕二・礼子夫妻に話を聞いた。(ヨミドクター編集長・岩永直子)

【略歴】

◆宮本顕二(みやもと・けんじ)
 北海道中央労災病院長、北海道大名誉教授。1976年、北海道大卒。日本呼吸ケア・リハビリテーション学会理事長。専門は、呼吸器内科、リハビリテーション科。「高齢者の終末期医療を考える会」事務局。

◆宮本礼子(みやもと・れいこ)
 桜台明日佳病院認知症総合支援センター長。1979年、旭川医大卒。2012年に「高齢者の終末期医療を考える会」を札幌で立ち上げ、代表として活動。

 

「高齢者の延命問題を一緒に考えたい」と話す宮本夫妻(札幌市の自宅で)

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 ――なぜこのテーマで書かれたのですか?

 夫妻「日本では高齢者が終末期に食べられなくなると、点滴や経管栄養(鼻チューブ、胃ろう)で水分と栄養が補給されます。本人は何もわからないだけでなく、とても苦しいたんの吸引をされ、床ずれもできます。栄養の管を抜かないように手が縛られることもあります。人生の終わりがこれでよいのだろうかとブログで発信すると、多くの読者から体験に基づいた切実な意見が寄せられました。これを本にして多くの人に紹介し、高齢者の延命問題を一緒に考えたいと思いました」

 

 ――ヨミドクターのブログ連載は、非常に反響が多かったです。なぜこれほど関心を集めたと思いますか。

 宮本礼子「多くの人にとって切実な問題となっているからだと思います。たとえば、私の認知症外来は、家族の方も一緒に診察室に入っていただきます。そして、お話しできる患者さんには、『将来、食べられなくなった時に、胃ろうや鼻チューブで栄養を補ってほしいですか』と聞きます。一部の患者さんは『わからない』と言いますが、多くの患者さんは『そんなことはされたくない。そうなったらもうおしまいだわ』と言います。その時、家族も必ず自分の希望を言います。『私も望まない』と言う人ばかりです。『尊厳死協会に入っています』と言う人もいて、皆さん関心が高いです。『自分の親は何年も胃ろうで生きていて切なかった』という人もいます。そういう人は、意思がより強固です」

 「そして、マスコミの影響もあるのでしょう。何年も前から胃ろうの問題はあちこちで取りあげられるようになってきました。また、胃ろうや鼻チューブや点滴の高齢者があまりにも増え、必ず誰か知り合いに使っている人がいます。関心を持たずにはいられませんよね」

 宮本顕二「多くの人が80歳、90歳まで長生きするようになり、寝たきり老人も増えました。同時に、そういう姿を見ている人も増えているのでしょうね。そして、考えるのではないでしょうか、自分の親にはどうするか、自分の場合はどうするかと」

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