いきいき快適生活
介護・シニア
ポール使いウォーキング…両手に持ち安定保つ
歩行不安な人も無理なく
両手に持ったポールを使って歩く「ポールウォーキング」という運動が、シニア層に注目されている。
足とポールで体重をしっかり支えられるので、膝が悪いなど歩行に不安のある人でも無理なく歩くことができるという。
東京都杉並区の加賀谷弘さん(77)は、半年前からポールウォーキングを始めた。「今は毎日歩いている。長いと4キロ・メートルぐらい。この前も近くの公園の池を一回りしたよ」と話す。以前はつえを使っていたが、ポールを使う方が歩きやすく、手放せなくなった。
ポールウォーキングは高齢者を中心に人気が高い。4月に同区内で開かれた、ポールを持って歩くイベントには、主に50~70代の地域住民が集まり、講師の指導のもとで、ポールを使った歩き方を練習した。
イベントを主催した、NPO法人みんなの元気学校(東京)代表理事の
背筋をピンと伸ばした良い姿勢で歩けるため、加齢による足腰の衰えなどが原因で日常生活に必要な運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の予防や、全身運動によるメタボの改善なども期待できる。
ポールを使って歩く運動には、ノルディックウォーキングもある。こちらは、ポールの先で後方の地面を押して推進力を得て、スピードに乗ってズンズン進む。比較的体力がある人向きだ。校條さんは「足腰が弱るなどして歩行に不安のある人には、ポールウォーキングの方がいい」と話す。
専用のポールは、スキーのストックと似ているが、地面につく部分がゴムでできている。スポーツ用品売り場や介護用品売り場、インターネット通販などで購入でき、1万円前後のものが多い。「身長に合わせて長さを調節できるタイプが主流。先っぽは球体か、やや平らになったものが使いやすい」と校條さん。
基本的な歩き方をイラストに示した。踏み出す足と逆側の腕をできるだけ前に伸ばし、踏み出す時にポールを前につく。2本の足と2本のポールの計4本で体を支えるように歩くのがポイントだ。
ただし、初心者は無理をしないことが大事。自分なりに安心して歩ける範囲で、歩幅を広げたり腕を大きく前に振り出したりすればいい。
民間団体や自治体などでポールウォーキングの体験会を開くことも多い。始めたい人は、こうした会を探して参加してみるのがお勧めだ。
高齢者の各種相談に応じる東京都大田区の「地域包括支援センター入新井」は週1回、65歳以上を対象にポールウォーキングの講座を開く。
センター長の沢登久雄さんは、「ポールウォーキングには健康維持だけでなく、おしゃれをしたり仲間とおしゃべりをしたりと、生活に意欲的になっていく効果もみられる。介護予防は家に閉じこもらないことが大切なので、その点でも効果的です」と話す。
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