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血液型 ハラスメント…性格判断で不快な思い

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差別、いじめも

 「A型の人は○○」「B型の人は△△」。血液型性格判断を自分や友達、有名人などに当てはめて話題にした経験は多くの人があるはず。

 だが、血液型だけを根拠にステレオタイプで性格を決めつけられることに不愉快な思いをすることも少なくない。これを「ブラッドタイプ(血液型)ハラスメント」として問題視する声が上がっている。

 青山学院大3年の阿部啓祐さん(21)は「自分の部屋が汚いのは血液型とは関係ないだろう」と憤る。小学校時代から友人が自宅へ遊びに来るたび、「A型ならきれい好きなはずなのに……」と言われ続けているという。法政大3年の有賀壮吾さん(20)も「B型だけがだらしなかったり、忘れたりするとは限らない」と訴える。

 聖徳大心理学科講師の山岡重行さんが1999、2005、09の3年で首都圏の5私立大生計3587人を対象に行った調査によると、血液型性格判断で「不快な経験をしたことがある」と答えた学生は3割の1107人。このうち具体的な事例を記述した1003人の内訳は「別の血液型に見える」など不快な言葉を受けた人が最も多い34%で、「差別された・いじめられた」が23%、「性格を決めつけられた」が17%だった。

 山岡さんによると、血液型性格判断の源流は、20世紀初頭にドイツの研究者がヒトと動物の血液型を調べて提唱した説に遡る。その内容は「東洋人は白人よりもB型が多い。チンパンジー以外の動物にはB型が多い。東洋人は白人よりも動物に近い」という人種差別を主張するものだった。

 欧米では定着しなかったが、戦前の日本では、血液型で個人の性格や外国人と日本人の気質の違いをつかもうとする研究が進められた。当時の学術的な検証でこれを否定する意見が相次ぎ、沈静化したが、1970年代に入り、人の相性と血液型をテーマにした本が一躍ブームに。2000年代まで、書籍やテレビで取り上げられ続け、放送倫理・番組向上機構(BPO)は04年、「血液型で人を分類、価値付けするような番組は社会的差別に通じる危険がある」と各放送局に注意を呼びかけた。厚生労働省も「血液型と職務能力とは全く関係がない」として企業の採用選考時に血液型を聞かないよう求めている。

血液型性格判断に関係する書籍

 昨年6月には、血液型と性格の関連性に科学的根拠はないとする研究結果を九州大の講師がまとめた。この結果を受けて、インターネット検索サイト大手のヤフーが翌7月に意識調査したところ、血液型と性格は「関係あると思う」とする回答が54%で、「関係ないと思う」の40%を上回った。法政大3年の森一樹さん(20)は「血液型が会話のきっかけになるのはいいと思う」と話す。

 山岡さんは「血液型性格判断は、当てはまる事例だけ人の記憶に残り、当てはまらない事例は残らない。『遊び』だからと真面目に反論させない構造もある」としたうえで、「身体的特徴である血液型で他人と比較することは差別につながる。起源には人種差別があることを思い起こしてほしい」と指摘している。(原隆也)

 血液型性格判断 
 日本で血液型と性格を最初に結びつけたものは、1916年に「医事新聞」に掲載された「血液ノ類属的構造ニ就イテ」という論文。その後、東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)の古川竹二教授が学生を調査した結果を発表。これは後に廃れたが、71年に刊行された「血液型でわかる相性」(能見正比古著)が再ブームの火付け役となった。
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