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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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佐渡は薬草の宝庫…新潟で「がん診療と漢方」をテーマに講演

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 新潟へ行ってきました。今回は、済生会新潟第二病院が、年2回開催している病診連携の会へ参加するためです。済生会新潟第二病院の10階から眺める風景は、すばらしいものでした。目の前に広がる水田は、キラキラと輝いていました。日本海に沈む夕日に、佐渡がかすんでいました。

 佐渡へは、新潟港からカーフェリーで約2時間30分、高速船のジェットフォイルで1時間5分ほどです。直江津港からも高速カーフェリーが出ています。ご存じのように日本を象徴する鳥、ニッポニアニッポンと呼ばれるトキの保護センターが佐渡にあります。また、佐渡の薪能たきぎのうは、有名ですね。

 佐渡には、いろいろな薬草が自生しています。毎年6月に開催される「佐渡カンゾウ祭り」は、漢方薬によく使われる甘草かんぞうの黄色い花を楽しむものです。青く澄み切った空と日本海をバックに、甘草の黄色い花を散策するコースは、心も体も洗われることでしょう。

 甘草は、漢方薬の約70%に使われている薬草です。リコリスとも呼ばれる甘草は、砂糖の50倍の甘さがあります。しょうゆやみその甘みは、甘草でつけています。1990年にアメリカの国立がん研究所(NCI)が発表した「デザイナーフーズ計画」があります。この中で甘草は、がん予防に重要性が高い食品のひとつにあげられています。

 しかし、甘草には副作用があります。この甘草の副作用は、西洋薬でも起こります。というのも、西洋薬にも甘草は活用されているからです。甘草に含まれるグリチルレチン酸による症状が問題になります。症状は、「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「こわばり」がみられ、これらに加え、「力が抜ける感じ」「こむら返り」「筋肉痛」があらわれ、だんだんときつくなる、と言われています。具体的には、むくみから始まり、だんだんと血圧が高くなるなど、偽アルドステロン症と呼ばれる状態になります。

 詳しくは、重篤副作用疾患別対応マニュアル「偽アルドステロン症」を参考にされるといいでしょう。

 甘草以外にも、佐渡では様々な薬草が自生しています。蒼朮そうじゅつ当帰とうき附子ぶしなど、佐渡は薬草の宝庫ですね。

 済生会新潟第二病院での講演会では、副院長で外科部長の酒井靖夫先生に、座長を務めていただきました。「がん診療と漢方」をテーマに、約1時間、お話しさせていただく機会を頂戴しました。

 病院の内外からたくさんの方に、ご参加いただきました。会に参加していただきましたのは、医師、薬剤師、看護師の方々80人余りでした。私から少しでも多くの医療従事者の方へ漢方医学のよさを伝えることができましたら幸いです。漢方医学が、みなさまの毎日を元気で明るくすることを心からお祈りしています。

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今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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