お笑いコンビ 松本ハウス
一病息災
[お笑いコンビ 松本ハウス]統合失調症(5)自殺未遂、幻覚 コンビ解散
加賀谷は仕事の現場では頑張り続けた。芸人の職を失いたくなかったからだ。
「面白い、と評価されていくのはうれしかった。でも、実は私の中に自分を嫌い、『こんな体、ぶち壊してやる』という思いもあり、頭が矛盾でいっぱいでした」
人気が出るほど、自己矛盾が膨らんだ。ついに、自殺するつもりで、薬を大量に飲んだ。卒倒して、半日後に目を覚ました。
次第に、仕事の時間が来ても、起きられなくなった。遅刻をして、みんなに謝った。泣きながら帰宅した加賀谷に、自殺を思いとどまらせるファクスが松本から届いた。相方は見抜いていた。
勝手な薬の調節をやめなかったので、ついに幻を見た。自室の外から心配そうにのぞき込む松本。ライフル銃を向けるスナイパーも現れ、一人でおびえた。
「つらいんだ」。母に電話で助けを求めた。同居した母は入院を勧めた。「芸人をやめたら、人生が終わる」と抵抗したが、休む必要があるのは、わかっていた。
相方の入院を告げられた松本は「1年かかっても、5年でも、10年でもええ。またやりたいと思ったら一緒にやろう」と言った。加賀谷は、松本と目を合わせることができなかった。
人気絶頂だったお笑いコンビが、結成8年の1999年暮れ、解散した。
お笑いコンビ 松本(まつもと)ハウス、ハウス加賀谷(かがや)さん(41)・松本キックさん(46)
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