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[動き出す予防医療]体質の違い生む遺伝情報

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 遺伝情報が予防医療に役立つと言われてもピンとくる人は少ないかもしれません。

 学校で習ったことを少しだけ思い出してください。遺伝の主役は、DNAという物質です。DNAはA、T、G、Cで表される4種類の分子がひも状に並んだ長い分子で、この4種類の分子(4文字)の並び順が遺伝情報になっています。

 この遺伝情報が予防医療に役立つ理由を簡単に説明しましょう。

 遺伝情報は言語と同じで1文字でも違うと、意味が変わってしまうことがあります。例えば、「キョウハサムイ(今日は寒い)」と言いたいのに、1文字間違えると、「キョウハネムイ(今日は眠い)」という具合です。遺伝情報は時々このような変化を起こし、これが親から子に伝わっていきます。

 遺伝情報の違いから、様々な体質の違いが生まれます。

 例えば、お酒を飲めるかどうかは遺伝情報1文字の違いで決まります。アルコールは体内に入ると、アセトアルデヒドという体にとって有害で二日酔いの原因となる物質に変化します。アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド分解酵素によって、酢酸を経て、最後は水と二酸化炭素に分解されます。主に東アジアの人の中には、この酵素の遺伝子の特定の箇所に、酵素の働きを著しく弱くするGからAへの文字変化がある人がいます。父親と母親から受け継いだ遺伝子の両方がAのタイプの人は、アセトアルデヒドをうまく分解できないため、お酒を飲むと、すぐに気分が悪くなってしまいます。

 同じように、がんのかかりやすさや、薬の効きやすさ、副作用なども、遺伝情報のちょっとした違いで決まっています。たかが1文字されど1文字です。侮れません。(林崎良英・理化学研究所プログラムディレクター)

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