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チーム主治医制…子育て中の医師、負担軽減

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時短勤務取り入れやすく

患者の容体を話し合う富田さん(右から2人目)、上牧さん(同3人目)たち

 国立病院機構埼玉病院(埼玉県和光市)の小児科は、「チーム主治医制」を取り入れている。主治医がチームを組んで複数の患者を診る。子育て中の医師が安心して勤務し続けられるように採用した仕組みだ。

 小児科医の富田瑞枝さん(34)は、時短勤務で同僚医師より2時間遅い午前10時に病院に入る。低体重や未熟な状態の新生児ら5人前後の入院患者を受け持つ。仲間から「ミルクの量を増やした」「保育器に酸素を入れるのをやめた」と引き継ぎを受け、検査や治療の内容を決める。

 出勤前、この春小学校に入学した長女(6)をバス停まで送り、その後、長男(5)を幼稚園へ。午後1~4時には病院を離れ、幼稚園への迎えに加え、習い事への送り迎えや食事の準備に追われる。

 子供の成長に伴い幼稚園の行事参加などが増え、休職も頭をよぎった。だが、「心理的に復職しにくくなる。仕事を続ければ医師として成長し続けられる」と時短勤務を選んだ。新生児診療の専門医資格を取る目標がある。患者を受け持つことで専門性を磨けるという。小児・周産期センター部長の上牧勇さん(49)は「将来は後輩を指導する立場になる。実力を付けてほしい」と応援する。

 小児科の常勤医13人のうち3人が時短勤務。これを可能にしているのはチーム主治医制だ。三つのチームごとに医師たちは毎日集まり、受け持ち患者の容体や治療内容を伝えあう。ある医師が休む日は別の医師が「第二の主治医」として対応。患者にも受け入れられているという。働きやすさが関係者間で広まったこともあり、常勤医は15年前の2人から増えた。

 5人チームに所属する富田さんについて、仲間の三輪雅之さん(38)は「時短勤務でも0・5人分の力。助かる」と語る。外来患者を診察してもらう間に、書類の整理などができる。残業せずに済む。富田さんも手が空けば積極的に仲間を手伝う。

 富田さんは「職場の仲間との会話はリフレッシュになる」とも語る。夫の紘史さん(34)は「充実感を持ち働いている様子。おかげで家庭の雰囲気も明るくなっている」と話す。

 国内の若手医師の3割強は女性。出産や子育てを機に、仕事をやめる女性医師は多い。医師確保策の一環で厚生労働省は昨年度、女性医師が働く環境を話し合う懇談会を開き、現場の声を報告書にまとめた。子育て中の医師が情報交換する場の設置や、院内保育所の柔軟な運営のほか、勤務時間が短い医師に同僚が不満を抱く場合もあることから、勤務時間が短い医師の手当を減らして公表するなど、職場が公平感を持てる工夫も紹介した。

 埼玉病院小児科では、時短勤務の医師を支えた医師が、技能を磨く外部の研修を優先して受けられるように配慮。全常勤医が夜の当直を月2回以上するなどしている。

 懇談会の座長を務めた日本女医会長の山本●子さん(71)はチーム主治医制を「近くにいる職場の人同士で支え合う大事な仕組み。一定の人数がいる大きな病院から導入してほしい」と話している。(米山粛彦)(●は糸へんに廣)

 女性医師 厚生労働省によると、医師全体に占める割合は1980年当時は1割だったが、2012年では2割に増えた。診療科別では、皮膚科が44%、眼科が37%、麻酔科が36%、小児科が33%で割合が高い。一方、整形外科や泌尿器科は1桁で低い。

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