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睡眠不足の子ども、不登校の危険…早寝早起き指導

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 子供の睡眠時間をチェックして生活のリズムを整えようという取り組みが、青森県三戸さんのへ町の小中学校で行われている。慢性的な睡眠不足が体内時計を狂わせて不登校となるケースもある。不登校を予防する試みとしても注目されている。

 「あなたに必要な睡眠時間は9時間弱です。午前6時半に起きるには、午後9時半までに寝る必要があります」。3月上旬、三戸小学校5年生だった男児(12)が学校で渡された封筒を自宅で開くと、自分の睡眠の分析結果が書かれていた。

 男児は12月上旬の2週間分、毎日の起床時刻と就寝時刻などを記録して学校に提出した。分析によると、平均睡眠時間は8時間53分、睡眠の評価は、7段階の上から2番目で「現在は問題ないが、軽度の睡眠不足や生活リズムが若干乱れる可能性が高い」だった。母親(44)は「4~6年生は夜10時までに寝れば良い、と思っていたので考えさせられた」と話す。

 男児は毎朝6時に起きるが、週4日は午後6~8時にサッカー少年団の練習があるので就寝時刻が10時を過ぎることもあった。少しでも早く寝ようと家族も協力、男児も宿題を学校の休み時間などに終わらせるようにし、寝る時間が30分以上早くなった。男児は「朝はぱっちり目が覚めて、学校でも午前中、授業内容が頭にすっと入ってくることが多くなった」と早寝の効果を実感している。

 三戸町は2010年度から毎年、睡眠の改善を目的に小学校5年生から中学3年生を対象に実態調査をし、指導している。きっかけは、睡眠不足や生活リズムの乱れが不登校に関係するという三池輝久・熊本大学名誉教授(72)(小児神経学)の研究報告だった。夜更かしや朝寝坊が続くと、体内時計が狂い、朝起きることができない体になって、不登校につながるという。

 当時、三戸町は中学校の不登校の割合が全国平均の2倍以上で、教育委員会の馬場幸治さん(39)は「町では起床が午前6時前後と早く、睡眠時間が全国平均より短い。不登校と関係があるかもしれないと思った」と振り返る。睡眠指導の効果もあって、中学校の不登校の割合は7・81%(10年)から2・36%(13年)へと全国平均を下回るまでに減った。

 三戸町が参考にしたのは、福井県若狭町の三宅小学校での指導法だ。毎日の睡眠時刻の2週間分の記録である「睡眠ログ」を分析・評価するもので、三池さんと元校長の前田勉さん(71)らが06年から始めた。睡眠障害が疑われる場合は、子供と保護者を交えてカウンセリングをする。

 三池さんによると、睡眠には脳を休め、育てる働きがあり、乳幼児からの習慣が大切だという。「不登校の大半がこの病気の可能性がある。慢性的な睡眠不足で概日がいじつリズム睡眠障害になると治すのは難しいので、予防が大切だ。病気が疑われたら、専門医に診てもらってほしい」と指摘する。

 睡眠を十分とって生活リズムを整えると、集中力がアップし、運動や勉強で好成績につながるという研究報告もある。馬場さんは「睡眠不足が発育に影響することを少しでも理解してもらえれば」と話し、町内外で睡眠の大切さを講演している。(山田聡)

 概日リズム睡眠障害 
 慢性的な夜更かしや不規則な生活で体のリズムがずれて、朝起きることができない病気のこと。日中は活動的で夜は眠くなるといった約24時間の生活リズムを、体中のすべての細胞が持っているが、基準となる時間は脳などが朝の光や食事のタイミングを手がかりに作っている。
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