女優 大谷直子さん
一病息災
[女優 大谷直子さん]悪性リンパ腫(3)抗がん剤治療 体重33キロに
「見舞いに来る子どもたちの沈んだ様子から、私の病状がかなり悪いことは、察していました」
実は子どもたちには2007年秋、母の「余命3か月」が告知されていた。母心で、子どもたちから聞き出すことはしなかった。
リンパ系組織は全身を巡っているため、悪性リンパ腫は他のがんと違い、外科手術はしない。4種類の抗がん剤と、新しく開発された、がん細胞を攻撃する抗体薬による点滴治療が始まった。
抗がん剤の副作用で、髪の毛が抜けてベッドを汚すのがいやで、先に病院の理髪店で丸坊主にした。「体重は11キロも減って33キロになり、骸骨みたいにやせました」。個室の空きがなく、4人部屋だった。「闘病中の人たちの痛みや悲しみが、よくわかりました」
1か月の入院の後、3週間おきに通院しながら、点滴治療を続けた。悪性リンパ腫の患者の生存率を高めている抗体薬が効いたのか、半年後、がん治療を終えることができた。
でも、体力が相当落ちていたので、女優の仕事はできなかった。無収入になり、これまでの貯金を取り崩して暮らした。
「子どもたちは大人になって、別に住んでいます。だから、ひっそりと一人で生きる、隠とん生活の毎日でした。華やかな芸能界には、もう戻ることはないと思っていました」
女優 大谷 直子(おおたに なおこ)さん(64)
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