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[臨床の現場から]心身症と身心症

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 心の問題で体に変調をきたす病気を心身症といいます。逆に体の不調が心に及ぶのを身心症ということもあります。

 身心症には、がんや脳血管障害で、患者さんが先行きに不安や焦りを感じるケースがあります。このほか、膵炎すいえんや肝炎、肺炎の治癒後に倦怠けんたい感やうつ気分が続く場合があります。不安や焦り、うつ反応が強い時には、それが原因となって2次的な心身症をきたすこともあります。

 心身症では、めまいや頭重、息苦しさ、動悸どうき、胃痛、不眠など多彩な症状が出現します。しかし、検査で原因となる異常が見つかることはまれです。症状のほとんどが自律神経の機能異常によるもので、心の病と診断されるのを嫌う我が国では自律神経失調症の診断名が汎用されてきました。最近は、心の問題を身体症状で表現していると考え、「身体表現性障害」と呼びます。

 心身症の主原因は、職場や家庭、地域でのストレスです。職場のメンタルチェックで、不安、うつ度が強く、面談したところ、家庭のストレスが原因だったケースが多く、驚いた経験があります。

 心身症の治療の根本は、心の問題を明らかにし、カウンセリングや、緊張、不安を除く薬を上手に使うことです。心身症に似た疾患にうつ病があります。この中に気分の沈みを訴えず、身体症状が主という仮面うつ病がありますが、抗うつ薬が有効です。ちなみに、うつ病の症状は午前中が強く、夕方の方が軽いのが特徴ですから参考にしてください。

 現代はストレスの時代と言われています。感じるストレスの大きさや対応する能力には、個人差があります。ストレスに対処する個人力は、長年の地道な努力で培われるように感じています。(山本紘子・藤田保健衛生大名誉教授)

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