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Q 混合診療とは

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少ない負担で先進医療


  乳がんの治療をしている親戚のおばちゃんが、病院で「先進的な治療を受けてみませんか」と言われたんだって。混合診療になると説明されたらしいけど、それって何?

  保険がきかない新しい薬や医療機器を使った治療を受けやすくする仕組みなんだ。1980年代に始まった制度だよ。


  そもそも、どうして「混合」と言うの?

  医療保険がきく治療と、保険がきかない治療を組み合わせて、一緒に行うという意味だよ。


  なぜ、治療の種類によって保険が使えたり使えなかったりするのかな。

  国が「保険を使っていい」と認めている治療は、すでに安全性や効果が認められ、実際に広く行われているものなんだ。患者が負担するのは、年齢に応じて医療費の1~3割と決まっている。残りは、みんなから集めた保険料と税金で支払われる。これが日本の医療保険の仕組みだよ。


  なるほど。

  一方で、まだ開発中の治療や、海外で有効性が認められているけど日本ではこれから、という治療もある。こうした治療を選ぶと、その治療分だけでなく、本来は保険がきくはずの診察代や入院費用なども含む全額が負担になるんだ。


  保険がきくかどうかで、かなり違うんだね。

  そうなんだ。がん患者を中心に「できるだけ少ない費用負担で先進的な医療を受けたい」という要望が高まったことや、医療技術の進歩などもあって、10年ほど前から先進的な治療を混合診療として認める動きが本格化したんだ。どの治療を認めるかは専門家による国の会議で半年かけて議論して決める。がん治療薬、アルツハイマーの遺伝子検査など105種(3月1日現在)が認められているよ。

 

  いいことばかりの気がするけど、なぜ一部の治療だけに限定しているの?

  国は、なし崩し的に認めると、安全性や効果がよく分からない医療が広がってしまうと心配しているんだ。それに、混合診療の範囲が広がりすぎれば、お金がないばかりに優れた治療を受けられない人が増えてしまうかもしれない。


  だったら、いっそのこと最新の治療は全て保険が使えるようにすれば、平等になるんじゃない?

  もちろん今は保険がきかなくても、安全性や効果が確かめられれば、将来は保険が使える治療に加えられる。ただし、何でも認めていくと全体の医療費が増え、私たちが払う保険料が跳ね上がってしまう、と心配されているんだ。


  でも、新しい治療で助かる命もあるでしょ?

  そうだね。混合診療は早ければ2016年度にも大幅に拡大される。これまでは病院が国に申請していたけれど、希望すれば患者本人が特定機能病院(全国86か所)などを通じて申請できるようになるんだ。


  新しい治療を受けられる可能性が高まるんだね。

  欧米で実績のある先進的な医療を受ける道が広がると期待されているよ。その治療を国が認めるかどうかの時間も、2~6週間ほどに縮まる。一方で、安全性や効果が不十分な治療にはきちんと歯止めをかけることも、ますます重要になってくるだろうね。


  患者として気をつけた方がいいことはある?

  新しい薬や治療といっても、必ずしも効果が高いわけではない、と知っておいてほしい。医師から効果や副作用の説明を聞き、納得できる治療を選ぶことが、何より大切だよ。

(板垣茂良)

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