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腹腔鏡難手術、1割死亡…学会調査

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 群馬大学病院(前橋市)で、腹腔鏡ふくくうきょうを使う肝臓手術を受けた患者8人が死亡した問題を受け、日本肝胆膵かんたんすい外科学会が23日に発表した腹腔鏡手術の実態調査結果で、胆管切除を伴う保険適用外の肝臓手術は死亡率が10%近くに上ることがわかった。

 群馬大病院ではこの手術で3人が死亡しており、同学会は腹腔鏡手術の適応を慎重に検討するように注意喚起を行う方針だ。

 調査は昨年11月~今年1月、一定の手術実績があると同学会が認めた「修練施設」212病院を対象に、肝臓、胆道、膵臓の腹腔鏡手術の実施状況を尋ね、207病院から回答を得た。

 それによると、2011~14年に、肝臓の腹腔鏡手術は計8545人に行われ、このうち1587人が高難度とされる保険適用外だった。保険適用外手術の死亡率(術後3か月以内の死亡)は1・45%。手術方法別で見ると、胆管切除を伴う肝臓手術の死亡率が9・76%と突出して高かった。

 多数の肝臓手術を行っているがん研有明病院(東京都江東区)の斎浦明夫・肝胆膵担当部長は「胆管切除を伴う肝臓手術は、一般的な肝臓がんの手術より格段に難しい。がんを取り切り、再発をさせないように腹腔鏡手術でできるか確認されておらず、患者に対しリスクなどを正しく説明されたか疑問がある」と話す。

 また保険適用外の高難度手術を行うに当たり、無回答を除く176診療科のうち97診療科(55%)は院内の倫理委員会で審査を受けていなかった。同学会は今後、必要となる倫理審査の申請について会員の医師に徹底を呼びかけていく予定だ。

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