文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

医療・健康・介護のニュース・解説

補聴器 使いやすく…雑音を抑制、汗・水に強い

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 「最近、耳が遠くなった」と感じたら、補聴器の購入も選択肢の一つだ。高性能の様々なタイプが開発されている。自分にぴったりのものを見つけるには注意も必要だ。

使用者200万人

 補聴器メーカー11社が加盟する日本補聴器工業会(東京)によると、2014年の国内出荷台数は約53万台で、出荷額は約311億円。1990年は約30万台だったが、高齢化に伴い、増加傾向が続く。同会事務局長の八嶋隆さんは「5年前後で買い替える人が多く、使用者は計200万人くらい」と推測する。

 価格は、片耳(1台)で2万円台から50万円超まで幅広く、同じ商品・シリーズ名でも性能によって大きく異なる。消費税がかからない福祉用品だ。よく売れるのは15万~20万円台だが、八嶋さんは「聴力の状態、家庭や社内会議といった使用環境でも必要な性能が違ってくるので、値段に関係なく、慎重に選んでほしい」と話す。専門店のほか、眼鏡店や家電量販店など約6000店で購入できる。

聴力測定により補聴器の効果を確認することもできる(東京都渋谷区のリオネットセンターで)

 補聴器は、マイクで外の音声を拾い、大きくしてイヤホンで聞く仕組み。本体を耳の後ろにかける「耳かけ型」と、一体型で耳の穴に収まる「耳穴型」が、合わせて9割以上を占める。耳穴型は、耳の形に合わせるオーダーメイドがほとんど。箱型の本体にイヤホンを結ぶ「ポケット型」などもある。

小型で高性能

 マイクで拾った音声をそのまま大きくする「アナログ式」は少なくなり、デジタル信号に変換して複雑な処理をする「デジタル式」が主流だ。雑音の抑制や微妙な調整が可能となり、小型化も進んでいる。

 メーカー各社は、様々な工夫に取り組んでいる。

 国内大手のリオン(東京)は昨夏、防水機能を強化した耳かけ型「スプラッシュ」を発売。汗や水に強く、付けたまま入浴やシャワーも可能だ。

 世界6大メーカーの一つ、デンマーク・ワイデックス社の日本法人(東京)は今年、従来型と比べて最大約30%小型化した耳穴型「ドリームCICマイクロ」を発売した。耳の奥に収まるサイズで目立たない。

 パナソニック補聴器(神奈川)は、本体を胸ポケットなどに入れ、操作しやすいポケット型「J1」シリーズを販売。本体1台で両耳に装用でき、携帯型音楽プレーヤーのようにも見えるのが特徴だ。

購入前 医師に相談

 購入する際、どんな点に注意すればいいのか。

 リオンの直営販売店・リオネットセンター(東京)の牧内徹所長は「まずは耳鼻科医に相談してほしい」と強調する。老化による聴力の衰えばかりでなく、中耳炎や鼓膜の損傷などで聞こえにくいケースもあるからだ。

 同センターでは、カウンセリングや聴力測定などを受けられる。購入後も、電池交換や汚れ落とし、聴力の変化に伴う微調整など、定期的な点検が必要だ。

 また、身体障害者に該当する高度・重度の難聴なら、補聴器の購入費や修理費の補助対象になる場合もある。市町村の担当窓口や販売店に相談してみるといい。(小林直貴)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事