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Q 幼い子どもが病気になったら
看護休暇や病児保育活用
Q この前、共働きの姉夫婦が困ってたんだ。「娘が急に熱を出して、保育所に預けられない」って。
A 保育所の中には、子どもが病気になると「他の子に病気がうつるから預かれない」というところが多いからね。そんな時、親が取れる休みがあるんだよ。
Q どんな休みなの?
A 「看護休暇」というんだ。育児・介護休業法で決められている。小学校入学前の子どもが病気やけがをした時に取れるんだ。子どもの健康診断や予防接種の時にも取れるよ。
Q 誰でも取れるの?
A 会社などに雇われて働く人なら原則、誰でも取る権利がある。妻が専業主婦という男性や非正規雇用の人もだ。会社などは、従業員から「取得したい」と申し出があれば、断ることができないんだ。
Q 何日休めるの?
A 子どもが1人なら1年間に5日まで。2人以上だと10日だ。10日分すべてを1人に充ててもいいよ。
Q どうやって取るの?
A 子どもは急に病気になることが多いから、その日の朝に会社に電話で伝えても取れるんだよ。
Q 働く親はずいぶんと助かっているだろうね。
A そうとも言い切れないよ。厚生労働省の調査では、就学前の子を持つ従業員がいる事業所のうち、取得者が1人でもいた所は2011年度で21%。休暇を取れる人のうち、実際に取得したのは女性が26%、男性だと3%に過ぎない。
Q あまり活用されていないんだね。
A 事業所の6割が看護休暇を取った日を無給扱いにしている。だから、子どもが病気になった時は、先に有給休暇を活用しているのかもしれないね。ただ、従業員5人以上の事業所の半数近くは、就業規則などに看護休暇の規定を書いていない。看護休暇のことを知らない人もいるだろう。一方、各地の労働局には「申請しても休ませてもらえなかった」という相談もあるようだし、職場の雰囲気で取得を諦めている状況も考えられるよ。
Q それなら、病気になった子どもを預かってくれる所はないの?
A 市町村が行う「病児保育」がある。病院や診療所のほか、保育所に作られた専用スペースで、看護師らが預かるんだ。おおむね10歳未満の病気の子どもや、回復途中の「病後児」が対象だ。13年度で、全国に1173か所あり、のべ約52万人が利用したよ。
Q 利用するには?
A まず、事前登録や受診が必要だ。一般的な利用料は1日2000円。大半が当日の電話予約にも応じている。年々増えているけれど、数が足りないんだ。推計では、19年度には約132万人分が必要になる。今の倍以上の子どもを預かる態勢づくりが必要だね。
Q どうして思うように増えないんだろう?
A 定員2~6人の小さな施設が大半で、預かる子どもの数は日々変わる。利用のキャンセル率も2割を超えているので、経営が安定しにくいんだ。だから4月に始まる「子ども・子育て支援新制度」では、利用が少ない日に職員が地域の保育所を巡回したら公費を増やすなど、施設のサポートを強化することにした。
Q 預け先がもっと広がればいいね。
A 会員同士で育児を助け合う市町村の「ファミリー・サポート・センター」も、病気の子どもを預かっている。13年度で141自治体が取り組んでいる。子どもは体調を崩しやすいから、様々な支援策があるといいね。
(辻阪光平)
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