宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
トンデモ健康ビジネス、弱っている時ほど気をつけて!
東日本大震災から今日で丸4年になります。まだまだ不自由な生活をされている方や、以前住んでいた場所に戻れずにいる方も多くいらっしゃると思いますが、スーパーに東北の野菜などが並んでいるのを見ると、以前のように「東北を応援したい」という気持ちから東北産のものを食べるのではなく、本来あるべき淡々とした姿に戻りつつあるのかなあと感じます。風化させることのないように、これからも被災地の復興に関心を持っていきたいです。
「免疫力高める」で乳児死亡、インタビューに驚き
先日、大阪市淀川区で昨年6月、「免疫力を高める」としてマッサージのような施術を受けた生後4か月の男児が死亡した事件で、施術を行ったNPO法人理事長・姫川尚美容疑者が逮捕されました。以前「『免疫力』が
マッサージに似た独自の施術で、生後4か月だった男児を呼吸困難に陥らせて死なせたとして、新潟県上越市のNPO法人理事長・姫川尚美容疑者(57)が4日、大阪府警に業務上過失致死容疑で逮捕された。 姫川容疑者は逮捕前、読売新聞の取材に複数回応じ、施術の危険性や死亡との因果関係を否定していた。主な一問一答は次の通り。 ――施術が原因で男児を死亡させた疑いがある。どんな施術をしたのか。 「うつぶせにして体を押すなどのズンズン運動をしていると、それまでの泣き声が止まり、呼吸をしなくなった」 ――首を強引にひねったと言われているが。 「乳幼児は首をほぐすと、どこまででも回す。無理やり動かすようなことはしていない」 ――体を揺さぶることもあったようだが、乳幼児の体を揺らすことは危険では。 「医学的なことは分からないが、子供の体はゆがんで硬いので、揺すって緩めてやる必要がある」 ――男児の死をどう思うか。 「突然死であればどうしようもない。私が原因なら申し訳ないとは思うが、いくつもの成功例があり、施術とは関係ないと確信している」 (2015年3月4日 読売新聞) |
医療系の国家資格持たず「ズンズン運動」
姫川容疑者は医療系の国家資格は持たず、「医学的なことは分からない」としながらも、報道によれば「ズンズン運動」によりアトピー性皮膚炎やダウン症候群が治る、と
それなりに体に関する知識があれば、体を揺すったり、首をひねったりしても「免疫力」が高まったり、それらの病気が治ったりすることはあり得ないと分かりますし、さほどの知識がなくともホームページに載っている赤ちゃんの首が180度曲がっている施術中の写真を見れば「恐ろしい」と感じるものだと思うのですが、通常の医療機関で望んだ治療効果が得られなかった場合や「見放された」と感じた場合に、いわゆる代替医療にたどり着く人は少なくないのが現状です。まさに「溺れる者に
百歩譲って大人が自分の体に施す場合は「自己責任」と言えなくもありませんが、対象が自分に決定権のない小さな子どもの場合には、親に適切な判断能力がないと子どもは自分の意思にかかわらず被害者となってしまいます。今回の件も、「子どもの体にいいことがあるマッサージ、と言われると親は信じてしまっても仕方がない」という声も聞きますが、最終的に子どもの命が失われてしまえば、誰のせいにしても戻ってこないのが現実です(すでに姫川容疑者の施術の直後に2人の子どもが死亡していますが、命までは失わなくとも何らかの健康被害や後遺症を残した子どもが相当数いると考えるのが自然ではないかと思います)。
とある「教授」のお墨付き? 怒りを禁じ得ず
姫川容疑者の発言によれば、とある「教授」のお墨付きを得ていたとのことで、その医師に対しては怒りを禁じ得ません。残念ながら医療資格を持つ者でもトンデモ健康法やトンデモ商法の教祖となったり、肩入れしたりする人がいるのも事実です。有資格者とはいえ、医学的知識が欠如しているかものすごく古いか、もしくは倫理観かメンタルヘルスに問題があるのではないかとしか思えませんが、健康のため、子どものため、と妄信してしまう人を利用している人がいることはとても腹立たしいです。こういった「医業類似行為」は健康被害が出ないと取り締まれないのが現状のようです。私の目から見ていても、根拠もなく効果効能を謳っている施術や器具が多くありますが、本来、法律に違反しているはずなのに被害が出ていないと結局、野放しになっています。
消費者としては、最低限の体の仕組みを知っておき、「子どもにこんなに効果が表れる」「みるみる病気が治る」などのフレーズにだまされないこと、溺れかかっている時ほど吟味すること、うさん臭い医業類似ビジネスに遭遇したら訴訟を起こしていくこと、などが出来ると思います。健康に関しては最終的に自己責任になってしまうのが現実なので、健康ビジネスにはどうぞご注意ください。
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ダイエットや健康ビジネスはブームの流行り廃りはありますがいつの世もあるものです。ただ、最近はトンデモ医学を笑えないような医療事件もあって、新聞な...
ダイエットや健康ビジネスはブームの流行り廃りはありますがいつの世もあるものです。
ただ、最近はトンデモ医学を笑えないような医療事件もあって、新聞などのニュースを見ていると目を疑ってしまいます。
若手医師の過失致死は指導状況の不備が明らかにもかかわらず、退職した本人だけ強く追及されているようです。
(僕も人に好かれる方ではないので、自分に起こったようなことを邪推してしまいます。)
医療は完全ではありませんし、地域差もあります。
また、地方ではベテラン医師自体が貴重です。
とはいえ、「警察や司法も専門性の壁を口実に歪んだ判決やんのかなあ。 まあ、コネとか白い虚頭ってやつかな?」と素直に感じてしまいます。
専門医や学会の権威を守るために、扱いに違いがあるのは理解できますが、程度問題ではないかと思います。
この不況の中で、医療の中の経済的な要素の意味合いがは大きくなっています。
医療犯罪の背景にも地域のカネ回りの問題があったりしますよね?
だから、医療経済のキャッシュフローを減らしたくない意図はわかるのですが、そういう部分から医療の信頼が揺らいで、本文にあるような事件に遠く繋がってくるのかなあと思いました。
教授様にもまともな人もいればそうでない人もいますが、いっそ、真面目に医療をやる人が教祖様を目指す方がいいのかもしれないですね。
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法的に取締まって欲しい
しろこ
私の母は卵巣癌で亡くなりましたが、事前に親戚のおばさんから「病院へ行けば悪化する」「代替医療があるからそっちで診てもらえ」と言われ病院での治療を...
私の母は卵巣癌で亡くなりましたが、事前に親戚のおばさんから「病院へ行けば悪化する」「代替医療があるからそっちで診てもらえ」と言われ病院での治療を拒否した上での死だったので家族ともども後悔の残る結果になりました。
癌発見から亡くなるまで一ヵ月ほどしかなかったのでどちらにせよ手遅れだったかも知れませんが、抗癌治療や緩和ケアを少しでもしたかったという後悔が一生遺族に残る結果となりました。件の代替医療は、サウナへ行ったり高価なお茶を飲むなどの行為でした。本人も家族も精神的に衰弱しており、また癌患者が病院治療の甲斐なく亡くなっていくのを見続けてきたので「もしかしたら…」と藁にもすがってしまったのかも知れません。お茶やサウナ代金は母が生前稼いだお金の多くをつぎ込み、死んだからといって返ってくるわけでもありません。
限度はあるかも知れませんが、癌告知を受けた患者や家族に精神的ケアを第一に勧めてくれたらと思います。お茶やサウナで「治った」という因果関係不明の声はたくさんあるのに、それらをやっても「駄目だった」という声は誰もあげずかき消されてしまうのも悪循環です。
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病院での脱ステについて
こにもり
記事と同じくトンデモだと思うのですが…。いずれ機会があれば、脱ステロイドについて詳しく書いていただけないでしょうか?現在、親族の男性が病院での脱...
記事と同じくトンデモだと思うのですが…。
いずれ機会があれば、脱ステロイドについて詳しく書いていただけないでしょうか?
現在、親族の男性が病院での脱ステ治療を受けています。元々、軽度のアトピーは持っていたようですが、成人を迎えストレスがかかった時に一時重症化してしまったようです。それから、彼は脱ステを謳う病院にかかり、ステロイドを塗らずさらには、風呂断ちをしています。風呂を控えるのは病院の指導のようです。
ですが、病院が特定の薬を断つように指導するのは、おかしい気がしていましたし、彼のアトピーも悪化しているような気がするのです。かゆくて眠れない時もあるようですし。
一番困るのは、脱ステとネットで検索した時に、賞賛する医師の意見や経験者のブログしか見つからないことです。かなり頑張って探さないと、脱ステの問題点を指摘するサイトが見つからないのが現状です。それもごく少数です。
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