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大阪府立急性期・総合医療センター 腎臓病治療

深化する医療

(下)緊急透析 連携で24時間対応

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 透析を受けるのは、多くが慢性の腎臓病患者だが、近年、医療機関では急性の患者も目立つ。心筋梗塞や脳卒中を起こした腎臓病患者が緊急に透析が必要になったり、腎臓病ではない人が別の病気で急性腎障害となるような場合だ。大阪府立急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)は医師と技士らが連携し、24時間体制で透析に対応している。

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集中治療室で透析器をセッティングする下田さん(左)と医師(府立急性期・総合医療センターで)=同センター提供

 今月9日、腎臓病で入院中の80歳代男性が心不全と呼吸不全を起こし、集中治療室に運ばれた。翌日、腎臓・高血圧内科の医師と、臨床工学技士の下田俊文(57)が駆けつけ、けい静脈にカテーテルを入れ、透析装置から延びる管に接続した。

 一般的な血液透析は1回4時間だが、老廃物だけでなく炎症をもたらす物質も除去できる「血液濾過ろか透析」という手法を、ゆっくりと13時間かけて行った。

 昨年にセンターの集中治療部門で行われた緊急の透析は、延べ574件(157人)。3年前の約400件から大幅に増えた。

 患者のうち約3割が心疾患、約2割は脳血管疾患だ。心筋梗塞や心不全では体内に水がたまることがある。腎不全の患者は透析で排出させないと命にかかわる。

 集中治療室の患者は、血圧や血流、呼吸が不安定だ。体に負担をかけないよう、患者の状態に合わせて老廃物をこし取る透析器のフィルターの大きさや、循環させる血液や透析液の量を調節する。水の排出量を減らし過ぎると胸に水がたまり、呼吸不全に陥る恐れもある。デリケートな治療となる。

 腎臓・高血圧内科では、医師5人が交代で夜間や休日の当番を担当。要請があれば出勤し、どんな透析をすべきか判断する。技士の当直も置き、当番医師の到着前に透析液の濃度を調整し、透析装置に管を接続するなどの準備にあたる。

 同科の医師、光本憲祐(30)は「腎臓病は症状が複雑で、合併症への対応など、特殊な透析方法が必要になる患者が多い。専門医と技士の存在は重要だ」と話す。

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 集中治療室で透析を受ける急性の患者のうち約1割にあたる年間15人ほどは、急性腎障害だ。通常の透析室で処置するケースも、同約25人ある。

 急性腎障害は、数時間から1週間程度の短期間で、腎機能が低下して起きる。心疾患や敗血症、手術での出血後などにみられる。原因を取り除けば回復することが多いが、近年の研究では、他の臓器への影響など長期的なリスクが指摘されている。

 急性腎障害は、国際団体で11年前に定義されたばかり。国内では昨秋、日本腎臓学会や日本透析医学会など5学会が治療指針の検討を始めた。同科主任部長の林晃正(52)も指針作成の委員を務める。

 「集中治療室は生還すれば良しとするイメージが強かったが、医療技術の進歩で生存率が高まった今は、腎機能低下の防止など、患者が受ける長期的な影響を考慮した治療が必要だ」と話す。(敬称略、阿部健)

 
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