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正中頸嚢胞 手術すべきか

 20歳の娘の喉に「正中頸嚢胞」があります。手術すべきでしょうか。再発の恐れもあると聞いています。手術のリスク、治療について教えてください。(48歳女性)

全身麻酔下で塊を摘出

嶋根 俊和 昭和大学頭頸部腫瘍センター教授(東京都品川区)

 正中頸嚢胞は喉仏の上あたり(正中)に塊ができる病気で、甲状舌管嚢胞とも呼ばれます。胎児期に一時的に作られる細い管が残って、袋状になる病気で、10万人に1人程度が発症します。若年者に多くみられます。1%程度はがんを合併すると言われています。

 比較的、柔らかい腫瘤しゅりゅうができ、通常は痛みはありません。嚢胞に炎症を起こした場合は、痛みや発熱を伴うことがあります。まれに、嚢胞の内側の喉頭蓋に炎症が及ぶと、呼吸困難を生じることもあります。

 治療は、全身麻酔下で塊を摘出する手術が第一選択です。約1週間の入院が必要です。手術翌日からは食事が取れ、身の回りのこともできます。頻度は低いのですが、手術直後、傷の内側に血がたまったり喉頭蓋が腫れたりして、呼吸困難になる恐れがあります。

 手術での皮膚切開は、しわに沿って横に切るため、手術痕はそれほど目立ちません。痕が赤くなった時は、内服薬や軟膏なんこう、ステロイド含有のテープで治療すると目立たなくなります。

 舌の付け根にある舌骨も含めて甲状舌管を完全に摘出すれば再発することはまれです。嚢胞の中の液体を吸引した後、抗腫瘍薬を注入し、嚢胞内で炎症を起こして小さくする治療もありますが、保険適用されておらず、安全性は確立していません。

 感染や発がんリスク、放置していると嚢胞が大きくなることを踏まえると、急ぐ必要はないですが、いずれかの時期に手術するのがいいでしょう。

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