文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

大阪府立急性期・総合医療センター 腎臓病治療

深化する医療

(中)教育入院・外来で生活改善

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 腎臓病で失われた機能はほとんど回復しない。透析を避けるには、投薬や生活習慣の改善で、悪化を防ぐことが重要だ。だが自覚症状が乏しいため、深刻さを感じられず、放置してしまう患者も多い。大阪府立急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)は、患者教育に力を入れる。

■     □

患者や家族への講義で、食材に含まれる塩分について説明する織田さん(大阪市住吉区の府立急性期・総合医療センターで)=守屋由子撮影

 「血圧をきちっと下げないとアカン」「旬の食材は味がはっきりしているので、減塩した薄めの味付けでも大丈夫です」「たんぱく質を減らせる治療用の食品も、いろいろありますよ」

 1月中旬、「栄養」をテーマに開かれた「慢性腎臓病対策外来」に、5組9人の患者や家族が参加した。腎臓・高血圧内科主任部長の林晃正(52)や、織田都(34)ら2人の栄養士が順番に個別指導にあたり、これまで受けた治療や食生活を細かく聞き取り、生活や食事の改善方法をアドバイスした。

 個別指導に先立ち、林と織田が1時間講義し、なぜ自己管理が大切なのか、理解を深めてもらった。

 腎臓病になると、血液から老廃物や余分な水分をこし取って尿をつくる多数の「糸球体」が、次第に壊れる。腎臓は残った糸球体で機能を果たそうとするため、糸球体にかかる血圧が上がり、さらに破壊が進んでしまう。

 まず必要な対策は、高血圧を避けること。食事の塩分を1日6グラム以内に抑えるとともに、たんぱく質、リン、カリウムなど、負担のかかる物質の摂取も制限する。

 織田は食パン、ご飯、梅干しといった食材ごとに、物質の含有量を示しながら「長く続けないと意味がない。制限内で工夫して、自分の好みを取り入れるなど楽しみを見つけて」と話した。

 同外来は3年前から毎月開き、ほかに「薬」「合併症」「血圧」といった多様な課題を取り上げている。初参加した大阪府内の40歳代男性は、他の医院に10年あまり通院したが、食事制限に真剣に取り組まず、悪化させてしまったという。「食品の塩分も全然知らず、非常に勉強になった。もっと早く来たかった」

■     □

 通常の外来では、基礎知識の説明には長い時間を費やせない。一方、腎臓病は症状や治療法が患者ごとに異なるため、講義だけでは一般論にとどまる。同センターは約40年前、「教育入院」という、全国でも先駆的な取り組みをスタートした。

 6~13日間の入院中、専門医や看護師らが連日、腎臓病の基礎知識や検査データの意味などを患者に教える。薬剤師は服薬状況をチェックし、薬の機能や服用方法を細かく伝える。また、塩分やたんぱく質を減らした「腎臓病食」の試食会を開き、栄養士が指導を行う。

 教育入院の手法は、近年、他の基幹病院などにも広がっている。ただ、仕事などで入院の難しい患者もいる。せっかく学んでも退院後は忘れがちで、再入院はさらにハードルが高い。もっと手軽に取り組みを継続できるよう開設したのが「対策外来」だ。

 「きちんと生活改善をすれば、透析が必要なほど悪化する患者がこんなに多くなるわけがない。病気への理解を深める努力をしなければ」と、林は強調する。 (敬称略、阿部健)

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

深化する医療の一覧を見る

大阪府立急性期・総合医療センター 腎臓病治療

最新記事