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Q 派遣社員って何?

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雇う会社の契約先で働く


  お姉ちゃんが就職して派遣社員として働くことになったんだけど、派遣って普通の社員と何が違うのかしら?

  一番大きな違いは、雇われた会社(派遣会社)ではなくて、雇われた会社と契約している別の会社(派遣先)に行って働くという点だ。調査によると、働く期間についての契約は「1か月超3か月以下」が全体の32%で最も多い。何度も契約して長い期間働く人もいるけれど、1回の契約期間は短いので、不安定と感じる人がいるよ。


  お給料は誰がお姉ちゃんに支払うの?

  お姉さんを雇った派遣会社だよ。派遣会社には、お姉さんが実際に働いた派遣先の会社から派遣料金が支払われる。その中から派遣会社が手数料などを差し引き、残りをお姉さんのお給料にするんだ。派遣会社が手数料をどれぐらい取っているかの割合は、公表するのがきまりだよ。


  面倒な仕組みね。それなら派遣先の会社がお姉ちゃんを雇えばいいのに、なぜそうしないのかしら。

  企業にとっては、派遣社員を使った方が、正社員を雇うよりも都合がいい点があるんだ。派遣社員なら、仕事の量に応じて人手が足りない期間だけ、働いてもらえるからね。戦力として考えているのは短い期間なので、勤続年数に応じて給料を上げなくてよいと考えたり、正社員と同じようには研修や教育を行わなくてよいと考えたりする派遣先もある。

 

  それじゃあ、派遣の人たちがかわいそう。仕事が多い時だけ使われて、仕事がなくなったら「来なくていい」って言われてしまうじゃない。

  その通り。ただ、働く側にもメリットはあるよ。働く時間や場所、希望する仕事の内容、残業や休みの希望などを伝えれば、派遣会社が希望にあう派遣先を探してくれる。だから、自分でアルバイトを探すより、希望通りの職場が見つかりやすいよね。厚生労働省が行った調査では、派遣社員として働いている人のうち、これからも派遣社員でいたいという人が43%いた。ただ、一方で、正社員になりたい人も43%いた。


  全員が納得して派遣社員をしているわけではないのが問題ね。

  派遣の仕組みが1986年に始まった時は、専門的な知識や技能が必要な通訳やソフトウェア開発など一部の仕事に限って認められた働き方だった。その頃は、会社に縛られず、比較的給与も高い、というイメージが強かった。それが一般の仕事にも広がってどんどん人数が増えた。さらに、景気の低迷も相まって、本当は正社員になりたいのに正社員になれず、派遣社員をしている人も出てきた。だから、専門的な知識や技能を持たないまま、正社員よりも安い給料で働き、経済状況が悪くなった時に仕事を失うという問題が出てきたんだ。


  年金とか健康保険とかには入れるの?

  働いている間は、働く日数や時間に応じて、派遣会社が雇用保険や厚生年金、健康保険に加入させなければいけない。でも、働いていない期間は注意が必要だ。気をつけていないと無保険になってしまうことがあるので、派遣会社にしっかり確認しておくことが必要だ。


  仕方なく派遣社員をしている人はなんとかしてあげたいわね。

  今後は、一定期間働いている派遣社員が希望する場合には、正社員として雇ってもらえるよう求めたり、正社員と同じ教育や研修を受けたりしやすくなるよう法律を変えようとしている。長く勤めることで、生活が安定し、知識や技能が身に付けられるような仕組み作りは重要だね。

(大広悠子)

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