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卵子の核移植、英が世界初の合法化…「親が3人」に

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遺伝病防止、慎重論も

 【ロンドン=佐藤昌宏】英下院は3日、重い遺伝病を持つ母親の卵子の核を他の女性の卵子に移植することを認める「ヒトの受精と胎生学法」の改正案を賛成多数で可決した。

 同改正案が上院で可決・成立すれば、英国が世界で初めて卵子の核移植を合法化する国になるとみられる。

 この技術は、母親の卵子から核だけを取り出し、核を取り除いた健康な女性の卵子に移植する。卵子の核以外の部分の異常が起こす難病「ミトコンドリア病」の防止などに有効な手段となるという。英BBCなどによると、英国内には、この病気の子どもを産む可能性のある人が約2500人いるという。ミトコンドリアにも遺伝子があるため、この技術で誕生する赤ちゃんは、父母と卵子の提供者という「3人の親」の遺伝情報を受け継ぐことになる。

 英国国教会などキリスト教団体からは、「この技術は安全とはいえず、倫理上おかしい」との反対意見が出ている。人権団体の中からは、「美しく、知性が高く、病気にかからない、『理想的な赤ちゃん』を遺伝子操作で作る動きにつながる」と批判する声も出ている。

 山海 直(さんかい ただし)・医薬基盤研究所主任研究員の話「この技術では、母親の卵子のミトコンドリアの一部が混入する可能性が残る。子どもへの影響は不明な部分もあるが、英国では重い難病を回避するという目的で議論されていると思う。日本でも仮に導入するのであれば、対象をどう絞るかなど慎重な議論が必要だ」

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