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いい湯で健康 温泉と自然療法

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療養泉「ヨード泉」誕生…殺菌、脂質代謝改善に効果?

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 このブログを始めた頃、温泉の定義療養泉の定義についてお話ししたことがあります。そして、温泉は温泉法でその基準が定められているけれど、温泉法には療養泉の規定がなく、療養泉を定めているのは鉱泉分析法指針である、と説明しました。

 この前、温泉法の適応・禁忌症が改正されたので、その主な内容をここで紹介しましたが、鉱泉分析法指針も昨年改正されて、療養泉の定義が変わりました。銅イオン(Cu)、アルミニウムイオン(Al)がなくなり、よう化物イオン(I、以下ヨード)が新たに加わりました。

 以前から「CuとAlの効能は何だろう?」と思っていたのですが、効能を示唆する文献が見つからず、削られたようです。ですから、明礬みょうばん泉という泉名はなくなったのですが、これら二つのイオンは酸性の硫黄泉で、いかにも火山国の温泉と言われるような温泉水中に溶け込んでいることが多いのです。


  

 代わりに基準として入ったのがヨードです。温泉法では、このイオンを温泉水1キログラム中に1ミリグラム以上含むと温泉と言えるのですが、ヨード泉という療養泉名(泉質名)はありませんでした。今回、10ミリグラム以上含むと療養泉として認められたことから、これからはヨード泉と呼ぶことが可能になりました。

 ヨード泉は海水が起源であることが多いので、ナトリウムと塩素を含むナトリウム塩化物泉、すなわち食塩泉の特徴を有していることがほとんどです。新潟県、千葉県、秋田県などにヨード濃度の高い温泉が存在していますが、効能は何なのでしょうか。温泉水にヨードを含むうがい液のような殺菌効果はあるのでしょうか。

 千葉県白子しらこ温泉のヨード含有量は温泉水1キログラム当たり約109ミリグラムです。このくらいの濃度になると、うがい液を指示通りに薄めた場合とほぼ同じヨード濃度になりますし、他のヨードを含む温泉でもうがい液の10分の1程度の濃度ですので、殺菌効果を期待できるかもしれません。ただし、うがい液にはヨードの他にも有効成分が含まれており、またヨード泉の殺菌作用に関する報告は現在のところありませんので、きちんと効果を確認する必要があります。

 他には、ヨードサプリメントをりながらの温泉療法で、脂質代謝が改善した報告があるので、ひょっとすると、コレステロールが高い方に有効かもしれませんが、よくわかりません。これからの研究課題だと思います。

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いい湯で健康 温泉と自然療法_大塚吉則_顔120px

大塚吉則(おおつか よしのり)

北海道大大学院教育学研究院教授

 

1955年、北海道生まれ。79年、北海道大医学部卒、第1内科に入局。89年から米ニューヨーク市のコーネル医科大に留学。北海道大病院登別分院・医学部附属温泉治療研究施設(温研)勤務などを経て2007年から現職。国際温泉気候医学会(ISMH)アジア・オセアニア地区代表、日本温泉気候物理医学会理事長、日本生気象学会幹事、NPO健康保養ネットワーク理事長。主な著書に「新版温泉療法 温泉と自然が生み出す健康づくり」(Crews)、「そもそも、すべてが『体質』のせいなのか? 自然治癒力を引き出し幸せになる方法」(Medical Tribune)など。

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