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(3)死を見つめ 心は成長

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埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科教授 大西 秀樹さん

おおにし・ひでき
 1960年生まれ。横浜市立大医学部卒。神奈川県立がんセンター精神科部長などを経て2006年に埼玉医科大学精神腫瘍科教授。07年4月から現職。日本サイコオンコロジー学会理事など。


 私は精神科医で、がん患者さんとご家族、ご遺族のメンタルケアをするのが仕事です。

 がんになった時の心の動きを考えてみます。死を連想する病気としてまず最初に思い浮かぶのは、がんではないでしょうか。ですから、がんの告知をうけると、精神的な衝撃のため、日常生活の適応度は一気に下がります。この状態が約1週間続きますが、私たちの心には戻る力があり、約2週間で普段の生活ができるようになります。しかし、2~4割の患者さんは元の精神状態に戻らず適応障害やうつ病になってしまいます。がんという病気にうまく対応するためには、一人で考え込まないことです。

 私たちが月1回行う集団精神療法を紹介します。患者さんにこの1か月過ごしてきたこと、大事にしていること、翌月への希望などを話してもらいます。自分のことをしっかり伝え、人の話を聞き、刻々と変わる状況下で考える力をつけてもらうことが目的です。

 ある患者さんは「がんになって悔しいが幸せに気づくことができて人生が深くなった」「がんになったことは不運だが、人生は不幸ではなかった」と話して亡くなりました。この人は心に傷を負いましたが、つらさから生まれる人格的な成長がありました。私たちの心は成長するんです。人生をしっかり生きる力があれば、死というものを包み込んでいくのではないでしょうか。死ということは見つめながら、現世をきちんと生きる、それを考えていただきたいと思っています。

 
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