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歌手 吉幾三さん

一病息災

[歌手 吉幾三さん]腸の病気と肝炎(1)貧しさの中 歌手になる決心

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 「雪國」「酒よ」などのヒット曲で16回連続、紅白歌合戦に出場した。自ら作詞、作曲する特異な演歌歌手だ。津軽なまりの愉快なタレントとしても活躍。だが、30歳代から腸の病気を繰り返し、その際の輸血が原因と思われるC型肝炎などと闘ってきた。

 作家太宰治の出身地、青森県の金木で生まれた。9人きょうだいの末っ子。父は農業をしながら、民謡歌手としてならしていた。その才を受け継ぎ、歌声のきれいな子だった。中学2年で、歌手になると決めた。

 「家が貧しく、両親に楽な生活をさせてあげるには、それしかなかったんだ」

 親の勧めで高校受験はしたが、名前の欄には本名の前に「歌手」と書いた。落ちた。中学の卒業式の数日後、上野行きの夜行列車に一人で乗った。「お前が考えるような簡単なもんじゃねえ」と反対する父には、勘当されていた。

 母は青森駅で見送ってくれた。「いつ戻ってきてもいいんだよ。今、一緒に帰るかい」という声を振り切った。列車が動き出すと、雪の中を追いかけてくる母が見えた。「仙台あたりまで、一晩中泣いてたね」

 十五の春に上京。嫁いでいた姉を頼り、板前、酒場店員などをした。その合間に歌のレッスンを受け、20歳でデビュー。だが、売れなかった。10円玉を握り、赤電話の前で実家にかけようか迷いながら、涙した。

 

 歌手 吉 幾三(よし いくぞう)さん(62)

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