文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

お知らせ・イベント

お知らせ・イベント

(1)基調講演…糖尿病 3つの「あ」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

元気な100歳目指せ

 1992年に始まった本紙の連載企画「医療ルネサンス」が来月、6000回を迎えるのを記念した東京フォーラム「超高齢時代の健康学」が昨年12月2日、東京・有楽町のよみうりホールで開かれ、約1000人が参加した。国立国際医療研究センター糖尿病研究部長の野田光彦さんが、国民病・糖尿病について基調講演。パネルディスカッションでは、東京大学病院老年病科教授の秋下雅弘さん、埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授の大西秀樹さん、評論家の樋口恵子さんが「元気な100歳になるために」をテーマに、健康寿命をどう延ばし、賢く年齢を重ねるか、それでも大病になったらどう向き合うかを話し合った。

【主催】 読売新聞社

田中 秀一 読売新聞東京本社編集局次長のあいさつ 
 医療ルネサンスでは、役に立つ最新の医療情報の提供を心がけました。始まったばかりの腹腔ふくくう鏡手術を取り上げた記事には、大変な反響がありました。大事にしてきたのは患者の視点です。インフルエンザ脳症で3歳の男の子を亡くしたお母さんに5時間インタビューさせてもらったことがあります。「話を聞いてもらい、癒やされた気がする」と言って下さいました。連載は、新しい治療に取り組む医師の努力と汗、多くの患者の涙の結晶と考えています。だからこそ、支持と共感をいただけていると思います。


国立国際医療研究センター 糖尿病研究部長 野田 光彦さん

のだ・みつひこ
 1954年生まれ。東京大学医学部卒。虎の門病院内分泌代謝科部長などを経て2010年から現職。著書に「糖尿病正しい治療がわかる本」「コーヒーの医学」などがある。


 糖尿病は、血液中のブドウ糖が増える病気です。血糖値は、血液中のブドウ糖濃度のこと。もう一つ、「ヘモグロビンA1c」という、1、2か月間の平均的な血糖状態を示す値も診断に使われます。

 糖尿病が強く疑われる人は全国で950万人。最近の増加の主な要因は高齢化です。血糖値が高い状態が続くと、「神経障害」や「網膜症」、「腎症」になります。

 神経障害は、足の先や裏に、しびれや痛みが出ます。網膜症は、酸素などが毛細血管から網膜に十分に運ばれにくくなり、新しいもろい血管がそばから出てくるため、出血しやすく、眼底出血の原因になります。腎症になると、たんぱくが尿に漏れ出ます。腎臓の機能が少しずつ低下し、人工透析や腎臓移植をしないと命にかかわるようになります。

 糖尿病によって動脈硬化症になり、心筋梗塞や狭心症、脳卒中も発症します。九州大学の研究では、糖尿病になると、脳梗塞や心筋梗塞が約3倍に増えます。足の血管が動脈硬化になると、痛みも出ます。認知症やうつ病、がん、骨折、歯周病などの発症も増えます。

 治療は食事、運動、薬物療法が3本柱です。特に食事と運動が基本で、ここがおろそかになると薬剤も効きにくくなります。

 1日の食事は、身長で決まる標準体重(キロ)に25~30キロ・カロリーを乗じた量にしましょう。それから油物、甘い物、アルコールの、三つの「あ」には注意が必要です。カレーライス、ハヤシライスも意外にカロリーが多いです。

 運動は、それ自体によるエネルギー消費はそれほど多くありませんが、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の効きを良くします。歩くなら週2、3回以上、30分程度行います。運動をしてはいけない人もいますので、主治医に相談してください。

 薬は飲み薬、注射薬、インスリンがあります。治療目標はヘモグロビンA1c7%、難しい場合は8%、若い人は6%を目指します。体重管理と禁煙も大切です。体重は100~200グラム単位で量れる体重計で週2、3回以上、同じ時間帯に量ります。

 糖尿病は(治療に)他者の助けを必要とする病気ですが、社会の支援も必要です。患者さんが安全に歩ける遊歩道の整備や、食品のエネルギー表示をより広く、より細やかにするとか、インスリンの注射をどこでもしやすい環境にすることなどです。病気にあらがうのでなく、糖尿病でも気に病み過ぎず、明るい暮らしと療養をしてほしいと思います。

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

お知らせ・イベントの一覧を見る

最新記事