日野原重明の100歳からの人生
介護・シニア
新老人の会で平和を訴えた子どもたち
私は月1回の割合で、全国各地にある「新老人の会」のフォーラムで講演をしています。
去る1月18日には、「新老人の会」広島支部のフォーラムが開催されました。会場となった広島市内の「アステールプラザ」大ホールには1000名ほどの人たちが集まり、私は「いのちを守り、平和を築く」という演題で約1時間講演しました。
広島は1945年8月6日、米国のB-29機によって原子爆弾を投下され、約14万人の市民が死亡した土地です。今年はそれからちょうど70年に当たります。
このフォーラムで私が感動したのは、私の講演の後にアトラクションとして演じられた創作音楽劇でした。
タイトルは「I PRAY」。演じたのは、平和創作劇団に所属している広島の子どもたちを中心とした約40名です。
劇中、中学生以上の団員が観客席に下りて通路でも踊り続けた後、また舞台に帰って行きました。感性の鋭い子どもたちによる踊りを目の当たりにして、私は目頭が熱くなって涙が出ました。これからの未来を作っていく子どもたちが演じる躍動的な踊りで、平和な世界の大切さを表現する素晴らしい創作劇でした。
現在も、この地球から戦争が完全に無くなったわけではありません。戦争のない平和な未来がくることを信じ、次世代を担う子どもたちが踊りを通して、平和の尊さを力の限り訴えたのでした。
さて、この平和創作劇「I PRAY」の台本制作と演出を担当されたのは、木原
木原さんは長年ピアノの演奏してきた音楽好きで、ねんりんピック、国民文化祭、世界音楽祭、育樹祭、ロータリー世界大会の演出もなさっています。テレビや映画にも出演されるなど、多彩な活動を続けてらっしゃるタレントでもあります。私の心に感動を呼び起こしたのは、木原さんの平和に寄せる思いが、この劇に込められていたからに違いありません。
最後は参加者一同で有名な岡野貞一作曲の「故郷」を合唱して、フォーラムは閉会となりました。続いて、今回のフォーラム開催でお手伝いくださったボランティアの方々が別室に集い、歓談しました。その後、私は東京本部の「新老人の会」の役員2人と共に午後5時13分の新幹線のぞみで帰京しましたが、実に素晴らしい一日でした。
広島の地で過去から現在、そして未来の平和に思いをはせることができたわけですから。
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