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yomiDr.記事アーカイブ

Q 人口減少

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国全体が衰える危機


  田舎のおばあちゃんちに帰省したら、「集落の若者が足りねぐて、今年は正月の獅子舞ができねえんだ」って寂しそうだったよ。

  7年前の1億2808万人をピークに、日本の人口は減少が始まっている。地方で伝統行事や祭りが少しずつ消えるのも、人口減少の影響といえそうだね。民間の研究機関が昨年、「全国のほぼ半数にあたる896の地方自治体が消滅する可能性がある」と発表したことで、人口減少が深刻な問題としてクローズアップされることになったんだ。


  消滅って、本当に町が消えてしまうの?

  人が一人もいなくなる、という意味ではないんだよ。研究機関は、子どもを産む年齢、つまり20~39歳の女性の人口に注目し、2010~40年で半数以下に減ってしまう市区町村を数えていった。こうした自治体は、人口を回復させる力が落ち、医療や介護、学校運営などの行政サービスが十分成り立たなくなる恐れがある、と警告したんだ。


  おばあちゃんの町でも、診療所がなくなったり小学校が閉校したりしているみたい。地方は大変ね。

  地方だけの問題でもないんだ。多くの若い世代は進学や就職のために東京やその近郊に集まってくる。しかし、東京圏は保育所が足りなかったり、通勤時間が長かったりして、出産や子育てをめぐる環境があまり良くない。出生率(1人の女性が産む子どもの数)が全国一低いのも東京。そして、その東京の人口さえ、オリンピックが開かれる20年頃を境に減り始める。このままだと、60年の総人口は8700万人。高齢者ばかりが増え、医療や介護サービスなどが支えきれなくなる。国としての活力も下がってしまう。


 

  どうすればいいの?

  子どもを産み育てやすい環境を整えること。東京への人口集中を食い止めること。いずれも、繰り返し必要性が指摘されてきたけど、いよいよ地域ごとに知恵を絞って、本格的に取り組まないといけないね。


  政府はどうしようとしているんだろう?

  有識者が集まる「選択する未来」委員会は昨年11月、50年後の人口を1億人程度に保つため、子育て支援にかける予算を倍に増やすことなどを政府に提言した。これを受け、安倍政権は年末に「地方創生」のための総合戦略などを打ち出した。今後5年間で、若者30万人分の雇用を地方に生み出すことや、男性の育児休業を今の2%から13%に高めることなどを目標に掲げたよ。


  目標をクリアすれば減少は止まるのかな?

  有効な対策を講じたとしても、すぐ効果が出るわけではなく、しばらくは減り続けるよ。あと15年で出生率が大きく回復しても、人口減少が止まるのは80年後という推計もある。だからこそ早めに手を打たないと、本当に手遅れになりかねない。


  みんなで取り組まないといけないね。

  そうだね。日本では若者の9割が結婚を望み、2人以上の子どもを持ちたいと考えている。この数字は1970年代以降、大きく変わっていない。しかし、実際は30歳代前半の男性の5割、女性の3割強が未婚で、出生率も1・43どまり。「希望」と「現実」のズレをどう解消するか。人口減少は社会の存続にかかわる危機で、将来の世代のために解決を模索する責任が私たちにある、と考えてほしいな。


(高倉正樹)

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