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読み聞かせ 膝にのせれば話に集中
本の読み聞かせは、幼い子の想像力やコミュニケーション力を育てる。「じっと聞いてくれない」といった悩みも多いが、読み方などを工夫すれば楽しんで聞くようになるようだ。
堺市の市立東文化会館で開かれた読み聞かせの会。6組の親子が集まり、絵本講師の松本真裕美さんが語り出すと、それまでハイハイしていた赤ちゃんもじっと顔をのぞき込み、話に聞き入る。
「子どもが集中できるのは、親の膝で安心して聞いているから。スキンシップが大切です」と松本さん。読み聞かせの会では向かい合うが、家庭では、膝にのせるか、並んで膝と膝が接するように座って読むといい。
子どもが安心できる環境なら声の大きさやリズムを気にする必要はない。「親子で会話しながら、途中でやめても、好きなページだけ読んでもいい」
同じ本ばかり読んでほしがる子どもも多いが、それは関心が高まっている証し。好きな本を読んだ後に、「ママの好きな本も読もうね」と持ちかければ、幅が広がる。
また、きょうだいに読み聞かせをする際は、まず下の子向けの絵本から。上の子も、易しい絵本は面白がって聞く。先に上の子向けの本を読むと、弟妹が飽きてしまい、両方に読み聞かせができなくなる。
さらに松本さんは、「外に出て自然の音や風、気温などを体で感じることも、想像力を育てるのに大事です。それが読み聞かせにも生き、絵本の世界に入りやすくなります」とアドバイスする。
では、読み聞かせにはどんな本を選べばいいのだろう。子どもの本に詳しい大阪樟蔭女子大学講師の神村朋佳さんは「発達段階に応じた内容を選ぶことが大切です」と話す。
0~1歳は、話の筋よりも、音と色を楽しむ。この時期は内容よりも、「話す」「聞く」というやりとりの間合いを経験することが重要。「だるまさんが」(かがくいひろし作、ブロンズ新社)や「ごろごろにゃーん」(長新太作、福音館書店)のように、表題の言葉を繰り返したり、リズミカルに読んだりしながらページをめくる作品がいい。関心を示さない時は無理せず、他の本に切り替える。
2~4歳は、「〈1〉旅立ち〈2〉課題発生〈3〉乗り越える〈4〉帰ってくる」など、話の構成がしっかりしていて、結末が安心できる作品がいい。例えば「ちいさなねこ」(石井桃子作・横内襄絵、福音館書店)は、部屋を抜け出した子猫が、街で繰り広げる冒険と成長を描いている。
一人でも読める5歳以上になっても、読み聞かせを続けることで、読書体験はより豊かになる。この時期は、知る喜びがあり、関心の幅や知的好奇心が広がるような作品を選ぶ。神村さんは「親自身が読んではっとさせられたり、心が動いたりした本を選ぶと、子どもも関心を持つことが多いですよ」と助言する。
■上手な読み聞かせのポイント
・子どもを膝の上にのせるか、横に座って読む
・本の読み方は自由。好きな部分だけ読んでもいい
・きょうだい一緒の場合は、下の子どもの本を先に
・読むのが苦手な人は、「読み聞かせ会」に参加してみる
・自分だけでなく、いろいろな大人に読んでもらう
■絵本選びのポイント
・0~1歳は、話の筋よりも音と色を楽しむ作品。好みが見つかるまで、幅広い本を試してみる
・2~4歳は、ストーリーがしっかりしている作品を。途中はハラハラしても、結末が安心できるものがいい
・5歳以上は、「もっと知りたい」と知的好奇心が広がる内容を
・本選びに困ったら、図書館の司書にアドバイスしてもらう
(松本さん、神村さんの話を基に作成)
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