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いい湯で健康 温泉と自然療法

yomiDr.記事アーカイブ

入浴剤で温泉気分、自分好みの色と香りで

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 前回、温泉気分を味わうために入浴剤を使ってください、と書きましたが、実は、残念ながら入浴剤では本物の温泉と同じようには決してなりません。

 例えば、いわゆる「湯の花」が温泉地に行くと手に入ります。私も草津温泉で学会が開催された時に買ってきたことがあります。そして自宅のお風呂に入れたのですが、なかなか溶けてくれません。イオウの臭いは浴室に充満するのですが、浴槽内は溶けきらない大小の塊が浮遊していました。

 温泉成分が析出して固まった湯の花ですが、温泉水は地中奥深くの高温・高圧下で生成されます。析出した成分の結合力は強く、ですから、溶かすにも高温・高圧、場合によっては酸も必要になります。また、湯の花には気体成分が含まれていませんので、仮に全部溶けたとしても、温泉水と同じものにはならないのです。

 ○○の湯という温泉地の名前を冠した入浴剤もたくさん市販されています。そのような入浴剤を溶かしても実際の温泉とは異なりますし、一袋ではとても温泉の濃度にはなりません。

 一例を挙げれば、溶かすと乳白色になり、肌触りも良く、温泉に入っている気分になりますが、袋に書かれている実際の温泉のお湯は無色透明だったりします。その温泉の雰囲気を出すための演出ですね。

 そういえば、温泉水をギュッと濃縮して液体のまま提供しているのもあります。濃縮温泉水の名前で数多く出ていますので、試されるのもいいかもしれません。

 さて、濃縮温泉水も本物の温泉に入ることには勝てませんが、このような入浴剤であっても、温泉に出かけたような気分を味わうことによって、精神的な満足感、リラックス感(これらがとても重要です)を十分得ることができます。また、その成分によっては、保湿・保温・肌荒れ防止改善等の作用を期待できます。今日は草津温泉、明日は登別温泉、と全国各地の温泉巡りは楽しいものです。

 入浴剤を使うことの目的は、(1)色や香りなどで入浴を楽しむ、(2)成分による入浴効果を期待する、に大別されるかと思いますが、入浴剤を楽しむ基本は色と香りであり、気分的にリラックスした状態になれれば、使用した目的が半ば達せられると思います。したがって、自分の好みに合った色、香りを持つ入浴剤を選ぶことが、その効能を享受するための第一歩です。さらに、入浴剤はその成分を変えることによって肌をしっとりさせ、かゆみ、肌荒れを改善させたり、血行を促進させたりすることができます。入浴剤にはたくさんの種類がありますので、季節、体調に応じて使い分け、楽しく健康的なバスタイムを過ごしてください。

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いい湯で健康 温泉と自然療法_大塚吉則_顔120px

大塚吉則(おおつか よしのり)

北海道大大学院教育学研究院教授

 

1955年、北海道生まれ。79年、北海道大医学部卒、第1内科に入局。89年から米ニューヨーク市のコーネル医科大に留学。北海道大病院登別分院・医学部附属温泉治療研究施設(温研)勤務などを経て2007年から現職。国際温泉気候医学会(ISMH)アジア・オセアニア地区代表、日本温泉気候物理医学会理事長、日本生気象学会幹事、NPO健康保養ネットワーク理事長。主な著書に「新版温泉療法 温泉と自然が生み出す健康づくり」(Crews)、「そもそも、すべてが『体質』のせいなのか? 自然治癒力を引き出し幸せになる方法」(Medical Tribune)など。

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1件 のコメント

使っていますよ

うらら

草津、別府、白浜…温泉地巡り。森林、ラベンダー、ローズ…ハーブ巡り。ホームセンターに温泉宿っぽいコーナーが出来ていて、1年間では使い切れないほど...

草津、別府、白浜…温泉地巡り。
森林、ラベンダー、ローズ…ハーブ巡り。
ホームセンターに温泉宿っぽいコーナーが出来ていて、1年間では使い切れないほどの種類が置いてありました!
日本人でよかった、と思いながら浸かっています。

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