文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

教育評論家 尾木直樹さん

一病息災

[教育評論家 尾木直樹さん]むち打ち症(4)「頑張れ」は不要 弟の死で学ぶ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
尾木直樹さん=栗原怜里撮影

 次の勤務は、荒れた公立中学だった。窓ガラスは割られ、シンナー、恐喝、放火……。番長の生徒が向かってきても、ひるむことなく、言うべきことは言い、聞くべきことは聞いた。

 暴れる生徒を頭からどならず、「どうしたんだよ」と対話を試みた。不良グループから「どうしたの先生」とあだ名された。この「どうしたの」は、かつて学校生活が面白くなく、落ち込んでいる自分に、母が語りかけた言葉だった。

 9年間勤め上げて、転勤した。マスコミ出演などで一目置かれる存在となっていたので、新しい学校でやりづらさを痛感。体罰事件が起きたが、他の先生たちと気楽に話ができない状況にもなっていた。

 ストレスが積み重なり、心臓発作を起こした。医者から休職を勧められた。

 その頃、3歳違いの弟が白血病で2年の闘病の末、亡くなった。生前、「頑張ってね」と励ました。弟は「ずっと頑張っているんだ。もうこれ以上は頑張れないよ」とぽつりと言った。

 「弟の気持ちに気付かなかった。『頑張れ、は必要ない。寄り添うだけでいい』。この私の言葉は、苦い経験から出てきたの」。弟は、自分の出版社から兄の本を出したいと言っていた。

 教育現場と一般社会を結ぶ、自分にしかできない仕事をしよう。1994年、22年間の教員生活をやめ、教育評論家になった。

 

 教育評論家 尾木 直樹(おぎ なおき)さん(67)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

sokusai_117

 
 

一病息災の一覧を見る

教育評論家 尾木直樹さん

最新記事