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(2)悪循環断つ簡単運動

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 膝が痛いと、歩いたり、体を動かしたりするのが面倒になり、運動量が減る。ますます肥満になり、膝関節の周囲の筋肉も衰える。

 悪循環の対策に、元日大医学部整形外科主任教授の龍順之助さんは「日頃から、膝周辺の筋肉を鍛えましょう」と勧める。イスに座ったまま両脚を伸ばし、爪先をピンと上げて10秒間。これを10回繰り返し、毎日3セット行う。「簡単な運動だが、歩行が楽になり、『痛みが治まってくる』と好評です」

 変形性膝関節症の予防と軽度の関節痛の人向けの健康食品が、今秋、発売された。加齢で、関節軟骨の主要成分のコラーゲンを作り出す力が低下する。補う必要があるが、腸管からの吸収が悪い。そこで、特殊技術で細かくして吸収しやすくした「コラーゲン・トリペプチド」を入れた。

 東京都練馬区の関町病院長で、整形外科医の丸山公さんは、7年前の日本関節症研究会学会でコラーゲン・トリペプチドの効果を発表した。「軽い膝痛の35~70歳の男女が10週間摂取したら、痛みや日常生活の改善効果が見られました」。診療室にサンプルを置き、患者にも紹介している。

 コラーゲン・トリペプチドを開発した健康食品会社「ゼライス」(宮城県多賀城市)中央研究所長で薬学博士の酒井康夫さんは「加齢で後ろ脚が関節痛だった動物園のアフリカ象に、このコラーゲン・トリペプチドを与えたら、半年で異常歩行が治った」と話す。

 この話が広まり、全国15の動物園で、脚が悪かったキリン、ライオン、トラなどの治療に使われた。美肌に良いと言われるコラーゲンが、一足先に思わぬ所で役立っている。

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