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いい湯で健康 温泉と自然療法

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熱い湯が好きな日本人…冷水を平気で浴びる西洋人

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 ドイツはバーデンバーデンにあるフリードリッヒテルメ(テルメは温泉の意味)に入ったことがあります。ホームページを見ると、20年前に訪れた時よりもきれいになっているような印象ですが、最初に浴びるシャワーの冷たさには驚きました。確か20度前後だったと記憶していますが、冷たくて手と足の先をちょっとぬらしただけでやめました。続いてサウナ室に入ったり、お風呂にかったりするのですが、水風呂は冷たすぎてとうとう入ることができませんでした。温浴槽もあるのですが、40度を切っており、日本人的にはぬるすぎでしたが、冷水の後ですので気持ちよかったことを覚えています。

 日本人とドイツ人(西洋人)の水温に対する感受性はかなり異なり、日本人は熱いのが得意で、ドイツ人は冷たいのが得意なのです。日本には草津温泉に時間湯という伝統的入浴法があり、40~48度で3分間入浴する習慣があります。満足な治療法のなかった江戸時代に、47度という超高温浴が梅毒などの皮膚病に対して始められたようですが、時間湯としての入浴法が確立したのは、明治時代なってからのことです。現代の家庭での入浴も一般に高温を好み、42度程度でないと満足できない方が多くいらっしゃいます。

 ドイツ人の一般的な感覚では、38度程度が入浴温度の上限のようで、高くても40度を超えることはありません。冷水には耐性があり、平気で浴びています。日本の正月番組で、冷たい海に入って、みそぎを行っている日本人を見ると、「相当無理をしているな」と思ってしまいますが、凍ったアムール川に飛び込むロシア人を見ても「彼らは冷たいのは得意なんだから大したことはない」などとつぶやいてしまいます。


 さて、温水と冷水に交互に浸かる温冷交代浴というのがあります。血圧の上下変動が結構ありますので、高齢者や高血圧の方にはお勧めしませんが、自律神経を鍛える作用が期待できます。全身浴だと負荷が大きくなるので、すねのレベルでの水位で歩行浴として応用されることがほとんどです。

 また地形療法では、歩行コースの途中にたとえば木をくり抜いて冷水をめておき、体が温まったところで、両肘から先を冷水に浸けて、自律神経を刺激して、持久力を高めたり、循環器系の機能増進に役立てたりしています。この自律神経刺激作用は、温熱刺激ではなく、寒冷刺激によってもたらされることが重要です。

 以前のブログで、サウナ後の冷水浴は危険とお話ししましたが、このように一定の条件下で行う部分冷水浴は、健康増進にはとても良い効果をもたらすのです。


 さて、フリードリッヒテルメの話に戻します。このテルメは曜日や時間帯によって混浴のことがあります。私が入った時は偶然(残念ながら?)男性専用の時間帯でした。観光名所にもなっている、きれいなローマ風呂をひとりで独占しながら泳ぐことができました。その時、なんと女性客にのぞかれてしまったのです。もちろん、彼女はローマ風呂を見たいのです。すぐに従業員に注意されて去ってしまいました。

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いい湯で健康 温泉と自然療法_大塚吉則_顔120px

大塚吉則(おおつか よしのり)

北海道大大学院教育学研究院教授

 

1955年、北海道生まれ。79年、北海道大医学部卒、第1内科に入局。89年から米ニューヨーク市のコーネル医科大に留学。北海道大病院登別分院・医学部附属温泉治療研究施設(温研)勤務などを経て2007年から現職。国際温泉気候医学会(ISMH)アジア・オセアニア地区代表、日本温泉気候物理医学会理事長、日本生気象学会幹事、NPO健康保養ネットワーク理事長。主な著書に「新版温泉療法 温泉と自然が生み出す健康づくり」(Crews)、「そもそも、すべてが『体質』のせいなのか? 自然治癒力を引き出し幸せになる方法」(Medical Tribune)など。

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