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オトコのコト 医師・小堀善友ブログ

妊娠・育児・性の悩み

新説:良質のアダルトビデオは不妊症の原因になるかもしれない

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 さて、以前から私がよく話題に出す、現代の男性不妊問題・性機能障害の大敵「射精障害」の原因について一つ考察したいと思います。

 まずは、決して笑い話ではありません。AV(アダルトビデオ)の見過ぎで射精障害になった人たちもいます。

 私自身もAVをよく見ます。ほとんどは研究目的です(というのは大うそです、読売新聞のブログなので見栄を張りました。ほとんど趣味の領域です)。そして、AVを見ながらマスターベーションをします。

 いきなり告白しましたが、そのような経験のない男はほとんどいないはず。AVを見ながらマスターベーションをすることそれ自体には、基本的に問題はないでしょう。女性蔑視だとか、青少年に誤った性知識を植えつけるとか、うなずける批判もありますが、性機能という科学的な観点からみてデメリットはあまり考えられません。

 でも、「AVを見ないとイケない」となると、話は別。それはれっきとした心因性射精障害「AVアディクション(依存)」なのです。

 この症状をもう少しかみくだいて説明すると、「AVを見ながらオナニーして射精することはできる。でも、実際にセックスしようとしても、うまく射精ができない。そんな姿は想像できない」ということになります。他人の営みを客観的に見ながらならイケるけど、自分が「主人公」になろうとするとNGになってしまう、ということですね。

 「AVの見過ぎで……」と言いましたが、誤解なきように補足します。毎日見続けたらみんなが射精障害になる、というものではないでしょう。そこには、やはりその人の抱える何らかの「心の背景」が強く働いている、と考えるべきだと思います。

エロの充実は「女性の敵」

 ただし、一方で、一般論としてはこんな見方もできるのではないか、と感じています。

 今の日本は「AV天国」といってもいい状況です。街には、様々なジャンルのエロ作品があふれかえり、ネットを巡れば無修正の類の映像も無料で簡単に手に入ります。加えて、日本のその手の作品は、工業製品などと同じでユーザーのニーズを的確にとらえた、「作り込まれた」ものが多い。日本男児は、いつの間にか「オカズに不自由しない」環境に置かれていたわけです。

 そうしたバーチャルのエロの充実は、ある面で「女性の敵」です。男が、わざわざ妻や彼女とセックスしなくても性的満足を得られる状況が広がるのだから。これも個人的見解とお断りしておきますが、以前のブログでお話した「床オナ」を生みやすい住環境とともに、このエロコンテンツ(性風俗やオナニーグッズなども含めて)の発達が、日本で特異的に膣内射精障害を増加させている二大原因ではないか、と私は考えているのです。

日本から輸出される(?)膣内射精障害

 そうだとすると、こんなことも言えるかもしれません。エロにせよ何にせよ、「優れた」ものは海外からも支持され、輸出されていきます。アニメが瞬く間に世界を席巻したように、日本製エロコンテンツも、今後普及が進んでいくのではないでしょうか。そうなると、「性の先進国病」とも言える膣内射精障害も、これから世界規模で増加する可能性があります。国際学会でも積極的に膣内射精障害について議論される日は案外近いかもしれない、などと考えています。

 話を戻しましょう。AVにも通じますが、性的興奮の対象が「変わっている」場合にも、生身の女性とのセックスでは障害になる場合が少なくありません。例えば、SMのような過激な映像にはまった結果、現実離れした状況でないと射精ができなくなった、といった話はよく耳にします。女性の体の一部や衣服などに執着するフェティッシュな性的嗜好も、射精障害に結びつくことがあります。

「コスプレ導入」で治癒

 詳細はお伝えできませんが、私の師匠である岡田先生から、こんなご夫婦の話も聞いたことがありました。射精障害に悩む夫婦が、「コスプレ」を導入したら症状が改善しましたというのです。「コスプレ好き」という旦那さんのフェチ的傾向を逆手にとった「治療」です。女性側が快く協力したということも大きいですね。岡田先生曰く、関西人でノリのいい夫婦だったから簡単にコスプレで治った、とおっしゃっておりましたが、関西人の方が治療しやすいのでしょうか? とにかく治れば結果オーライ。

 それにしても、オンナを理解するのも難しいですが、オトコって不思議ですね。夫婦のあり方も十人十色。射精障害について、今後も研究をしていきますが、治療の方法は夫婦それぞれに答えが違うのかもしれません。

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オトコのコト_小堀善友顔120px20150821

小堀善友 (こぼり よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。詳しくはこちら
主な著書は『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。詳細はこちら

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4件 のコメント

交合

扁鵲

関係念慮くらいで勘弁して下さい。泣きそう[妄想は訂正不可能の思い込みでなくてはなりません]。男女の交合が楽しいのは、生理的快感があるからではなく...

関係念慮くらいで勘弁して下さい。泣きそう[妄想は訂正不可能の思い込みでなくてはなりません]。

男女の交合が楽しいのは、生理的快感があるからではなく、寧ろ二人の魂の絡まりあいを確認する行為だからではないでしょうか?

と童貞がテキトーな事を言ってみる

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時代が解決するかも

埼玉のシニア

そもそも不妊症は、性行為が有れば必ず子供が出来ると言うことでもありませんが、なければ妊娠もないわけで、良質のアダルトビデオは子供を増やす一つのき...

そもそも不妊症は、性行為が有れば必ず子供が出来ると言うことでもありませんが、なければ妊娠もないわけで、良質のアダルトビデオは子供を増やす一つのきっかけだと思います。不妊症は病的に何らかの原因がありからで、性交渉の促進にビデオも一役買えば万歳かと。

昔のようにビデオもない時代は、性の手ほどきを先輩に連れられて性を覚えたと思いますので、どちらが健全かといえば現代のビデオは度合いの激しさもありますが、ビデオは性病の心配もなく安全でしょう。

先生のご指摘にある過渡期の時代論に賛成です。いずれは淘汰され健全な提案になると思います。健全で、そして激しく燃え上がるようなビデオが必ず出てくるでしょう。一方では汚れたものもあり、一方では正しいセックスのあり方を教えるビデオが出てくる様な気がします。

それにしても、男はしょうがないですね。77の自分も、今でもマスターベーションのお世話になってます、はい。前立腺を働かせないとね。年寄りにはこれが重要な仕事でもあります。

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人間は貪欲・我愛に求め過ぎるから

めざめたじいさん

 いつも人と別の動物を比較してしまい、恐縮だが、膣内射精障害を起こすのは人間だけであろう。 先生も男性ですね、私もたまにですが興が乗るとAVを見...

 いつも人と別の動物を比較してしまい、恐縮だが、膣内射精障害を起こすのは人間だけであろう。

 先生も男性ですね、私もたまにですが興が乗るとAVを見ながらオナニーをします。80過ぎた爺さんがと気持ち悪く思うかも知れないが、欲望はまだ枯れてはいない。

 煩悩は幾つになっても消えない。一旦火が付いた性慾は飽くなき快楽を求め、執拗に工夫する。また、その欲望を満たすようにこれでもか、これでもかとエロ産業ははびこる。巧みなキャッチコピーを使って、人から金を巻き上げる。

 犬、馬、豚などの交尾を見る機会があるが、膣外射精は馬や豚の精液搾取をする、疑似膣で搾取される意外は知らない。

 これは人が脳でセックスの快感を感じるからで、脳が発達すればするほどエロ産業は繁盛する。やはり、AVを見ながらの発散は適度を保つ必要がある。

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