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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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海外旅行には漢方薬を活用してみてはいかが?

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 みなさんは、年末年始をどう過ごされる予定ですか。里帰りをされる方、年末ぎりぎりまで仕事がつまっている方、日頃の疲れをとるため、のんびりと寝正月を考えている方など、様々だと思います。

 今年の年末は9連休になります。この機会に海外旅行を計画されている方も多いと思います。海外旅行では毎年一番人気がある場所が、ハワイだそうです。みなさんの予定はいかがでしょうか。

 この季節になると海外旅行へ行かれる方から、「どんな薬を準備していけば良いのでしょう」とよく相談を受けます。わたしはいつも、みなさんへ胃薬、整腸薬、風邪薬、外用薬、湿布薬、絆創膏ばんそうこうを携帯していくことをお勧めしています。

・胃薬:食あたり、食べ過ぎ、胃のもたれ、消化不良など
・整腸薬:下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感など
・風邪薬:咽頭痛、鼻水、鼻づまり、発熱など
・外用薬:虫刺され、かぶれ、吹き出物など
・絆創膏:靴ずれ、切り傷など
・湿布薬:筋肉痛、関節痛など



 世界各地の料理を舌で味わう、その国でしか食べることが出来ない料理を地元の音楽を聴きながら楽しむなど、「食」は、旅行の醍醐味だいごみのひとつです。しかし、旅行中、調子を崩すことが多いのが、胃腸の状態です。せっかく楽しみにしていた海外旅行、行きの長いフライトで便通の調子が狂ってしまったために、食欲がわかない。何を食べたせいかわかならないが、下痢になってしまったと便通の異常を訴えることも多いと思います。

知らない土地ではトラブルがつきもの

 胃腸の調子を調節するときに、重宝するのが、半夏瀉心湯はんげしゃしんとうです。この漢方薬は(1)内服してすぐに効いてくれるところ(2)胃にも腸にも効く、優れものです。海外旅行のお供には、なくてはならない漢方薬です。

 ホテルのクーラーが効きすぎてのどが痛くなった、旅の疲れが出て体調を崩したといった原因で風邪を引いてしまう方が多いようです。また、飛行機の中やバスでの移動は、ウイルス感染症にかかりやすい環境が続きます。こんなときは、漢方薬で対応しましょう。

 日頃から風邪を引くと(1)ノドから悪くなる人は麻黄湯まおうとう(2)だるくなる人は葛根湯かっこんとう(3)鼻水になる人は、小青竜湯しょうせいりゅうとうを準備しましょう。

 知らない土地で、見たことがない虫に刺されたり、気づいていたらかぶれていたりといったことがあります。肌のトラブルだけでなく、歩きすぎで靴ずれができるなどトラブルが起きやすいものです。

 ちょっとした切り傷や擦り傷など、絆創膏とセットで必要なのが軟膏です。

 漢方薬には紫雲膏しうんこうという紫色の軟膏があります。江戸時代の医師、華岡青洲が考案した薬で、さまざまな肌のトラブルや外傷に使える優れものです。

 旅行の楽しみはすばらしい景色を堪能することだという方が多いと思います。名所旧跡巡りや映画で見た場所を訪ねるなど、意外と歩く距離が長くなるものです。関節が痛くなったり、こむら返りを起こしたりします。こんなときは、芍薬甘草湯しゃくやくかんぞうとうが特効薬です。速効性があるので、夜中の突然の痛みをとってくれます。持続性がありますから、毎日内服しておくと疲れ知らず、になります。

・胃薬 整腸薬:半夏瀉心湯
・風邪薬:麻黄湯、葛根湯、小青竜湯
・外用薬:紫雲膏
・筋肉痛:芍薬甘草湯



 今年もあとわずかになりました。せわしない気分になりますが、毎日の生活を元気で健康に過ごすため、どうか、身体を大切にお過ごしください。漢方医学の智恵ちえを活用して、年末年始の準備をしましょう。海外旅行には、漢方薬を活用してみてはいかがでしょう。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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1件 のコメント

とても役に立ちました

漢方に目覚めた

50代に入り体力的にも自信が無くなり その上子供の世話や親の介護で健康は常に保たなければならず、ちょっとした調子の悪さは市販の薬で何とかやり過ご...

50代に入り体力的にも自信が無くなり その上子供の世話や親の介護で健康は常に保たなければならず、ちょっとした調子の悪さは市販の薬で何とかやり過ごしても だんだん体調が悪くなり でも忙しさでお医者さんに行く時間がなかったりする今日この頃。でも風邪の引き始めは漢方が効くってこと、やっと身に染みて分かりました。先生はその人によってのど、鼻、だるさなど風の引き始めに効く漢方を教えて下さっていますが、漢方薬の良さは持ちの良さでもあり、薬箱にあったことをすっかり忘れて4.5年ほってあった漢方薬(葛根湯や小青龍湯)をすがるように飲んだところ 次の日だいぶ楽になっていて驚きました。抗生物質を飲むほどでもない初期症状のとき、副作用もなく眠くなることもなく、とても自然な効き具合で、なんとなく治っている感じです。これは気分がいい。最近すぐにのどが痛くなるので 麻黄湯という漢方も是非試してみたいなと思っています。これからの季節常備したいと思います。

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